ウルリヒトゥレタス

皐月川納涼床

中間報告

サワーと焼き鳥とサイリウム

ぼくはおよそ運動と縁遠い生涯を送ってきて、それは観ることにおいても同様だった。運動音痴なのはもちろん、スポーツは内輪のものという感覚が強かったのだ。 特に野球においてそれは顕著であり、かつてなぞなぞで「殺しても殺しても生き返るものなーんだ?…

はじめてのバーにデュオで行ってもいい 後編

出会い系バーという未知領域に突入した。我々に話しかけてくるのは男ばかりだが、話してみれば興味深い者たちだ。女の母数も少なく、彼らと話して過ごしていた。 VIPエリアにはいつのまにやら女ふたりがいて、ダーツに興じている。ナンパに余念がない25歳は…

はじめてのバーにデュオで行ってもいい 前編

イングリッシュパブへ行った帰りに、同行していた友人から別のバーに行かないかと誘われた。学割で朝5時の閉店まで飲み放題らしく、それで2000円とコスパは抜群にいい。しかし、ただのバーではなく出会いを目的とする紳士淑女が集う場であるという。既知の類…

実習で異文化交流 その12(終)

7日目 後編 やっと飛行機から降りられるようになったが、通路側に座っている女がなかなか降りようとしないし荷物を棚から降ろそうともしない。あまり余裕もないのでとっとと棚を開けて欲しいのだが、自分の荷物も取れなくていいのだろうか。 そう思いつつし…

実習で異文化交流 その11

7日目 中編 個室からの退去はまたもや慌ただしいものとなった。疲れて放り出していた荷物を持ち運べるように再編成し、漫画を籠に放り込み、忘れ物がないことを確認して部屋を出た。時間内のチェックアウトには成功した。 知らない町でひとり放り出された格…

実習で異文化交流 その⑩

6日目 後編 里はここから遠い山の中にある。最良の手段であるバスがない以上は歩くしかない。地図によると1時間以上かかるようだ。幸いにも、道はそこまで複雑ではなさそうだった。今から出発すれば、どうにか帰りはバスに乗れる。山へと進路を取った。 なお…

実習で異文化交流 その⑨

5日目 後編 誘ったものの疲れ果てたらしい先生とやはり乗ってこない影武者を除いたいつものメンバーで打ち上げへ行った。普段は無料のカラオケがあったらしいが、今はお上から睨まれないよう中止しているらしい。大学の公式の授業で同じ人物と3日間も部屋を…

実習で異文化交流 その⑧

5日目 中編 館内でも目を引いたのが、ヤングアダルト向けのコーナーだ。最近では多くの図書館に配置されており、地元の図書館にもあった。10代最後の日に何をしようか迷った挙句、「未成年優先閲覧席」を使ったことを思い出す。あれが最初で最後だろう。大抵…

実習で異文化交流 その⑦

4日目 後編 準備自体は想定していたよりもずっと軽いものだった。書庫に保管してある売り物の本が入ったダンボールを会場近くまで運ぶだけであり、陳列は明日やるのだという。狭苦しいエレベーターには苦戦したが、大きな遅れもなく作業は完了した。 その後…

実習で異文化交流 その⑥

3日目 後編 自動車図書館の見学を終えた我々は、駅前でいったん解散した。昼食の間は自由行動となったが、メンバーは瞬く間に姿を消した。ひとりだったので、近くのファミレスの安いひと皿を食べて済ませた。その後は近くのブックオフまで散歩して時間を潰し…

実習で異文化交流 その⑤

2日目 後編 集合場所の部屋へ行こうとしてふと気づいた。ホテルの部屋にはたいていカードキーを挿すところがあって、そうすることで通電される。今挿されているキーはぼくのものなので、出かけるからといって抜けば電気が消えてしまう。 仕方なく、影武者に…

実習で異文化交流 その④

2日目 中編 夕食にはホテル近辺(といってもかなり離れていたが)の居酒屋が選ばれた。注文した飲み物が届いた時、我々はちょっと困った。影武者と隣人の頼んだものがそっくりな見た目なのだ。これではうかつに動けない。みんながグラスを睨みつけ、決定的な差…

実習で異文化交流 その③

2日目 中編 ここでは独自のテーマ別に資料が並べられていたのだ。テーマ別とはいっても普段のスタンダードとはかけ離れていて、無秩序としか思えない。さらに、資料は本棚の中で背の順に並んでいる。見た目は階段状で整っていても、中身はめちゃくちゃだ。 …

実習で異文化交流 その②

1日目 後編 ピッキングには中型の安全ピンが2本必要だ。それを押し開き、だいたい直角くらいに曲げる。これさえあれば大丈夫だ。 鍵を差し込むと溝によっていい感じに鍵穴内の何やら出っぱっている部分が押し込まれ、穴が回るようになる。これが錠の仕組みら…

実習で異文化交流 その①

弊学部では、ひとつ選んで実習に行かなくてはならない。行き先は1年生の後期に提出した希望とGPAを元に決定される。その後、2年生では隔週、3年生では数回の事前学習を得てそれぞれ実習を行い、事後学習をもって単位は修められる。 つまり、メンバーと初めて…

無能の完璧主義

最近のゲームは、凝ったキャラメイクができるものも多い。顔のパーツや体型、髪型に声などいじれる項目は多岐に渡り、位置や色はさらに細かく設定できる。その組み合わせはそれこそ無限に近いだろう。 MMOというジャンルのゲームやモンスターハンターシリー…

10年の付き合い

今、この記事を書いているPCはMacBook Airで、調べたところだと2012年の製品らしい。背面にある林檎のロゴが光るのは昔の製品だけらしく、後輩に教えてもらった。あまりPCに詳しくはないが、RAM4GBで現代を生きていくのは厳しそうだ。 これを買ったのは中学…

はじめてのクラブにソロで行くべきではない 後編

パーティーに来たのに特に何も起こらず3時間弱が経過した。パーティーの参加者はこの後の通常営業にも参加できる。毒も喰らわば皿までだ。意地でもあと7時間、閉店まで残ってやる。 礼節のない大学生がぎゅう詰めだったフロアも、パーティーが終わり終電も消…

はじめてのクラブにソロで行くべきではない 前編

ある日、弊学部全体グルに他学部の4年から告知が投下された。渋谷で清掃活動をし、その後クラブでパーティーをするらしい。効果はすぐに現れた。6名がグルを抜けたのだ。 確かにどうみても怪しい。カルトは清掃ボラを隠れ蓑にするという噂だし、何よりクラブ…

[2021] 第13次中間報告

高校の頃、受験校を決める基準のひとつとして資格を考慮したことがあった。特に明確な進路はなかったが、資格はあっても腐りはするまいと安直に考えたのだ。 結局、資格ではなく難易度と適性によって受験校を選んで今に至るが、合格後に初めて学部の概要を調…

第12次中間報告

新たな委員会執行部を選出する選挙が迫っていた。候補者は5分間の演説で投票を訴えるという。私には人望がないので出馬は差し控えたが、もし出馬するとしたらこうなっていただろう。 それでは私の演説を始めさせて頂きます。広報局対外部2年の██です。よろし…

第11次中間報告

ロシア語のプリントを失くし、再履修の強みを活かして再入手に成功したが、不注意で授業に持ってくるのを忘れた。以上が以前の要約となる。ちなみに、部屋は散らかったままだ。プリントが手元にないと気づいても打てる手は既になく、授業が始まった。もしか…

[2021] 番外中間報告: 25番房記録(後編)

免許合宿に来た。予定日程は2週間で、前半の試験に合格すれば仮免許を付与されて後半に進むことができ、後半の試験に合格すれば帰ることができる。その後、自宅付近で学科試験に通ればいよいよ免許が交付されるという仕組みだ。前編では最初の1週間で仮免許…

[2021] 番外中間報告: 25番房記録(前編)

友人に誘われ、免許合宿へと行くことにした。正直取得したところでそうそう使う気はしないが、あって邪魔だということもないだろう。以下は免許合宿での日記、その前編だ。残りが後編だけで終わればいいのだが。タイトルは『静岡の空に』や『25番房の軌跡』…

[2021] 第10次中間報告

はじめての会合が通達された。通達といっても学部やフットサルサークルからのものではない。フットサルに関しては入会した覚えもない。今回の通達は大学祭実行委員会からだった。広報局に残るために望まない仕事をすることになって、気分は左薬指を失ったジ…

[2021] 第9次中間報告

ある土曜日のことだ。土曜日はロシア語が1限からあるため、限りなく深夜か明け方に近い早朝頃(この表現については過剰な誇張である可能性が指摘されている)起き出して出かける準備をする必要がある。予備バッテリーやケーブルを鞄に放り込んでから気がついた…

[2021] 第8次中間報告

委員会内部における理知的で有意義かつ建設的、そして公平な議論の末に志望班への編入は却下され、再面接が決まった。あらすじは以上だ。 私が応募したのは広報局のパンフ班だった。適性第一という私の優先プロトコルに従いつつも、イラレの技術を習得するの…

[2021] 第7次中間報告

「面接といっても形だけだよ」という甘い言葉に誑かされ、大学祭実行委員の面接に行った。面接後、希望を信じていた私だったが、届いたのは定員の都合による再面接の知らせだった。以上が前回長々と書いた内容だ。 文面は丁寧を装っており簡潔だが、その裏に…

[2021] 第6次中間報告

ある日の放課後、授業を終え校門へ向かっていると「大学祭実行委員募集」の看板を掲げた学生がいた。まもなく始まるという説明会への勧誘をしているようだ。 私はチームワークだのアットホームだのは嫌いだが、何かの行事で準備に追われるのは好きだ。これを…

[2021] 第5次中間報告

キャンパスに初めて来たのは去年の健康診断で、その後は後期まで来なかった。当時はどのアルファベットがどの棟を指しているのかわからず、毎回地図を見なくてはならなかったものだ。慣れてきた今では、5回に3回程度見ればいい。 学内にあるのは未知の施設や…