無能の完璧主義

 最近のゲームは、凝ったキャラメイクができるものも多い。顔のパーツや体型、髪型に声などいじれる項目は多岐に渡り、位置や色はさらに細かく設定できる。その組み合わせはそれこそ無限に近いだろう。

 MMOというジャンルのゲームやモンスターハンターシリーズにもそのようなシステムがあり、自分自身でデザインしたキャラでその世界を生きることができる。MMOの自由度にもモンスターハンターのアクション性にも興味はあるし、好物のロールプレイにもうってつけのゲームなのだろうが、未だにプレイしたことはない。その原因のひとつがキャラメイクだ。

 ほとんどの場合、作成できるセーブスロットやキャラクターの数は限られているか課金を要する。そして、キャラメイクには大なり小なり取り返しのつかない要素があるし、ゲームを始めてすぐに行うことになる。つまり、そのキャラと生きていくことを決めなければゲームを始めることができないのだ。

 ロールプレイをするにしても、ひとつに絞ることは難しい。男女で違うデザインになる装備もそれを後押ししている。ゲームを始める前だから判断材料は限られており、いざ始めてから後悔するのではないかと不安になって決められない。

 方向性を決めてもいじれる項目が多すぎてどこをどうしたものか迷うし、いじっている内に新しい候補も出てくる。どこが完成かもわからなくなってくる。自由度が高すぎるせいで、かえって決まらない。そうこうしている内に考えるのが面倒になり、投げ出すのだ。

 このようなことはキャラメイクに限った話ではない。料理は買い物のせいで挫折し、セールは吟味している内に終わる。今書いている他の記事も、登場人物のコードネームが思いつかずしばらく書いていない。

 悩んだところでどうせ後悔することも、完璧な決断などできないことも、くよくよしているのは自分くらいということもわかっている。それでも後悔しない決断をしようとか完璧な状態にしようとかしていることを、私は自分で「無能の完璧主義」と呼んでいる。

 無能の完璧主義はとても厄介だ。最初からできるはずもないのに完璧を求めるものだから終わりがないし、そうやって悩んで行動に移さないこと自体が損だという事例も少なくない。これは機会損失というらしい。

 今思えば、塾にいた頃に質問しなかったのもきっとそうだ。中学受験にせよ大学受験にせよ、周りの者たちはみんな先生に質問しに行っていた。もちろん、私は彼らのほとんどより頭が悪かったが、結局質問に行くことはほとんどなかった。中学受験の頃はまだ多少マシで、最後の方には何度か質問した。とてもわかりやすく教えてくれたと思う。

 教えてもらわずに済むほど頭が悪かったのではなく、教えてもらってもわからないと思っていたのでもない。行かなかったのはどこがわからないかわからなかったからだ。きっとそういう生徒も少なくはないのだが、どこを質問すればいいかわかってから行こうとする内に行かずに終わった。

 言うまでもなく、そこで自分で勉強することもないから成績は上がらない。さらにわからないことが増えて、それでも質問しに行かないからそれが繰り返される。どうにかなったからよかったものの、もっと賢く生きることはできたはずだ。塾にいることの大きなメリットのひとつでもあっただろう。

 そして、これは就活でも繰り返されている。何もしていないから次々に来る講座や説明会のどれに行けばいいかわからず、限られた時間をどのインターンへ使うべきかわからないから応募すらできない。そうして知識も経験も身につかないまま、行動に繋がらない焦燥感だけが残されて今に至る。

 入試もそうだったが、就活はきっと機会損失が特に大きいものだ。高校の先生と交わした「きっと就活で痛い目見ますね」「わかってるじゃん」という会話が、非常に現実味を帯びてきている。

10年の付き合い

 今、この記事を書いているPCはMacBook Airで、調べたところだと2012年の製品らしい。背面にある林檎のロゴが光るのは昔の製品だけらしく、後輩に教えてもらった。あまりPCに詳しくはないが、RAM4GBで現代を生きていくのは厳しそうだ。

 これを買ったのは中学に入学した頃のことだった。ラジオ部(この名前は過去の残滓でしかなく、現在では専らパソコンを用いたプログラミングやDTMが活動内容である)に入ろうとして、いとこが持っていたからとよく調べもせずに買ったのだが、いきなりMacBookを買ってくる馬鹿がいることはさすがに先輩も予想外だったらしく、Windowsとの違いを丁寧に教えてもらう羽目になった。その後、親に手伝ってもらってWinows7をインストールした。

 結果、Windowsの入ったMacBook爆誕したのである。これは一応公式の機能なのだが、現在ではできないらしいから、ラジオ部でこの機体を使っていたのは後にも先にもおそらく私だけだと思う。語り継ごうにも尊敬しづらいのが惜しいところだ。

 ところが、高校生の頃になると親に取り上げられてしまった。ただ点数が危うい定期試験前夜の朝4時にマインクラフトをプレイしていただけだったのだが、タイミングが悪かった。ある年などは、自分の手元にない期間の方が長かった。戻ってきたと思ったら、突然ブルースクリーンを吐いて動かなくなってしまった。

 しばらくはこのままいたのだが、ある年の合宿を期に修理へ出し、MacBookは生き返った。もちろんデータはすべて死んだので、転生という方が近いのかもしれない。最後の方は才がないことを悟ってあまりまともに作品製作に取り組んでいなかったし、高校2年生の大学祭ではほぼ完全に古本市をメインに活動していたから、あまりMacBookをクリエイティブなことに使っていたとは言えないし、結局のところゲームとネットサーフィンが主な使用手段だった。

 そのことは当然親も知っていた。受験の年にはまた取り上げられたのである。これはもちろん私を受験へ集中させるためだったが、私は白SIM機を購入して抵抗し、親はこれを破壊して応戦した。『ジュラシック・パーク』の「生命は必ず道を見つける」という言葉が思い出される。

 MacBookでさえ、残虐にして野蛮な破壊活動から逃れることは叶わなかった。未知ながら驚異的な捜索能力を持つ妹によって私の手に返っていたが、親が奪い取ってシンクに放り込み、MacBookは数秒の間ながらシャワータイムを楽しんだ。慌てて電源を切ろうとしたものの異常な速度で発熱してしまい、私は第一対応を大きく間違えたと悟った。

 万策尽きたかと思われたが、ネット(使える端末がないのでWiiUのブラウザを使った)で調べると「乾燥剤と共に袋に入れて密封して待つ」といういかにも怪しげな療法を見つけた。こういう焦った状態で見つけたものに飛びつくのは、つくづく悪い癖だと思う。しかし、この時は本当に頼れるものがなかったのだ。

 密封できるような袋がないのでクリーニングの袋をガムテープで目張りして代用し、台所にあったバナナチップスから取り出した乾燥剤を放り込んだ。机の端でキーボードが天板に接するような形で広げておいた死体を袋で包み、数日間待った。そして再起動すると⋯⋯なぜか点いたのである。どうしてこれで直ったのか、今でもわからない。

 その10年来の愛機だが、いよいよ限界が近い。スペックは何をするにもつらいし、容量は外付けHDDを常時接続して誤魔化している状況で、何よりバッテリーが1コマ保たない。そろそろ買い替え時なのだろうが、検討が面倒ですぐやめるから次が決まらない。部屋を見渡せばそんなものばかりだ。物に愛着を抱きがちだから、尚更買い替えられない。物持ちが良すぎるのも考えものかもしれない。

はじめてのクラブにソロで行くべきではない 後編

 パーティーに来たのに特に何も起こらず3時間弱が経過した。パーティーの参加者はこの後の通常営業にも参加できる。毒も喰らわば皿までだ。意地でもあと7時間、閉店まで残ってやる。

 礼節のない大学生がぎゅう詰めだったフロアも、パーティーが終わり終電も消える頃にはいくらか空いてきた。代わりにやってきたのは、もっと怪しい人々だ。外人も多い。

 この部屋はDJブースの後ろにライトがあり、絶えず動いて人々を照らしている。レーザーとはいえ光源が小さな線状であり、フロアには微かに煙が充満しているため、乱舞する台形の軌跡に照らされるとスキャンされている商品の気分になる。ブースの反対側にはバーカウンターがあり、他の壁際にはVIP用らしいソファ席がいくつもある。

 たまに変化するレーザーの色が青とオレンジになり、ナワバリバトルを思い出す。素直に帰ってフェスに参加していた方がよかったかもしれない。ここにいたどのDJもタコワサ将軍には敵うまい。

 踊りもわからずただ左右に揺れていると、一般外人が声をかけてきた(正確には耳元で叫んだ)。そのまま彼ら4人と乾杯する。音楽の中で相手の英語と意思疎通するのはかなり困難だった。かろうじて25歳であることだけわかったが、この爆音がある限りは会話を続ける気も失せるというものだ。彼らが踊るのを見ていることにした。

 他の人々も見ていた。前方では別の外人グルが踊り、後方では日本人カップルが踊り、近くでは派手な女たちが踊る。国籍はわからないが、ずいぶんいい動きをしている。眺めていると、ひとりから急に「踊ろう」と囁かれた。日本人だったらしい。

 女は踊れないことを察して真似するよう促してきた。熟練者を真似ていると、自分もうまく踊れているような錯覚に陥る。誰かと踊るのは初めてだが案外悪くない。

 踊りを終え、一旦地下のトイレに向かった。出てくると、黒人からチップを入れるよう促された。さっきまではなかったシステムだ。箱にチップを入れ、近くの菓子を取るらしい。

 箱の中には千円札があるが、これはきっと高い金をサクラとして入れて相場を錯覚させるという詐欺師御用達の手口だ。相場もわからず200円を入れた。やはり善意を強制するのは間違っている。生理現象を人質に強請るのはもっと間違っている。

 フロアに戻り、ソファにいた女に先程の礼を伝えると握手してくれた。また外人たちの近くで揺れつつ人々を見ていると、女と同じソファにいた外人が近づいてきて、「あの子たちに声かけちゃ駄目だよ」と囁いた。

 実はやんごとなき身分なのかとも思ったが、ショートパンツにサラシのような布切れでは高貴さが伝わってこない。職員がソファに立って踊り注意されるとも考えにくい。他の女が男の膝に乗っていたから、娼婦なのかもしれない。

 まったく、極東まで来て天下る外人と売女とは、いかにも掃き溜めらしい。第一、最初に話しかけてきたのは女の方だ。売女の躾くらい済ませておいて欲しいし、薄汚い息を耳に当てないでもらいたい。

 良識がある方の外国人たちも帰ってしまい(帰り際にハイタッチを交わした)、またひとりになった。残りの1時間強は、話しかけてくる者もなく、揺れたりグラスでテーブルを音に乗せて軽く叩いたりして過ごした。

 出口で回収した傘を片手に、5時の渋谷を歩く。どっと疲れた気分だが、腰の痛みに比べて足の痛みは少ない。おそらく、揺れるフロアがマッサージ機の役割を果たしていたのだろう。思ったより人が多く、まるでまだ夜のようだ。広告は出会い系アプリを宣伝し、女がメンヘラ御用達の座標把握アプリで友人を召喚し、男がその女をナンパして無視されている。

 同じ国語の者たちとは到底思えない。異文化という言葉でもまだ生温い、未知との遭遇だった。少なくとも、ひとりで来るべきではなかった。夕方のバイトも外すべきだった。

[2022] 9月に書く、7月の生存報告

 去年の夏休み、スターバックスはJIMOTOという新作フラペチーノを発表しました。今年こそちんペチ*1はじめ3つを同時展開するものですが、去年は各都道府県で違うフラペチーノを一斉展開するというもので、なのに期間が47日もないのでコンプしようとすると1日に1県などという悠長なことは言っていられないのでした。

 さて、せっかくキャンパスが僻地なのでそこのものも飲もうと思い、当時博物館の授業を受けていた女を誘いました。以前にコードネームを与えたかは忘れたので、以降は生姜と呼称します。生姜のパネルだったかがLINEのアイコンだったのです。

 アルバイトが控えていたとのことで、我々は学校の近くでフラペチーノを飲みながら1時間くらい話し、解散しました。夏休みの終わりが見えてもいない頃なのに、後期の履修予定をほぼ確定させていることに驚いたのを覚えています。

 しかし、2年後期に学芸員資格を取れなくなり、そうなる前から受講していた座学も同じだったので少しは話したものの、3年前期には学芸員課程を取らなくなったので親交が途絶えました。学部も違うので、他の授業でエンカウントすることもありません。

 あるきっかけで7月限定の酒がHUBにあるのとを知り、久しぶりに生姜へコンタクトを取りました。委員会の者どもはイングリッシュパブに気後れして応じてくれないのです。それに、生姜は以前酒に弱くはないと言っていた記憶があります。

 結局、この誘いが下旬だったこともあってか忙しいと断られてしまいました。まぁ、これは仕方のないことです。とはいえ、この後は授業が被ることもないでしょうし縁が途絶えるのは惜しいと思い、後期にどこか飲みに行こうと誘いました。すると数日後(やけに時間がかかりましたね)、彼氏が心配するので異性とふたりはちょっとなぁという旨の返信がありました。

 「心配する」とはじつに面白い表現ですが、それは置いておきましょう。どうぶつの森のおろおろするエモートが目に浮かぶようです。というかそれしか浮かばなくなってしまいました。

 束縛が厳しいのか、神経過敏なだけなのか、それとも生姜の自己判断なのか、それはわかりません。私に俳句や短歌の才能があれば、「去年は一緒に茶を飲んだ女が、今年は酒に来てくれない。時の流れを感じるものだよ」のようなものを詠んでいたことでしょう。

 私が約7年ぶりに知った女は、複数の男と交際して実験をしたり、付き合っていない男と長期間旅行に行くような女でした。小学校の頃は交際などほぼ存在しない概念でしたから、ある意味でのデフォルトはこの女で設定されてしまった疑いがあります。

 その後にこのような例が来ると、もう何もわからなくなってきます。どこまでも無責任なことを言うのなら、知り合いの女には誰であろうとフリーでいて欲しいものです。

 

 

 

<学校>

 今回の期末は特に大事なく終わりました。いくつかは出席できなかったため追試を受けることになったものの、落とした単位はないはずです。後期は、全学部共通単位を多めに取るつもりでいます。

 最も難しかったのは、社会教育について実例を調べ発表する授業のレポートです。これは前回と後期で実質的に繋がっており(外国語科目が形式としては近いでしょう)、全員が1回ずつどこかで発表するというものです。受講者は誰も彼も意識が高そうで、いかにも意識の高そうな団体を紹介しています。

 前期か後期のどちらか片方で発表するということは、前期か後期のどちらか片方で発表しないということです。発表しないシーズンは他の人の発表を聞くだけで終わるようにしてくれればよかったのですが、レポートが期末課題として存在します。内容は発表とあまり変わらず、おそらくはレポートとして仕立てたものと発表原稿や資料として仕立てたもののふたつを同じ内容で作るのでしょう。

 問題はそのレポートとしての内容説明があまりにふんわりしていたことであり、さらに授業を聞き流しがちだったため、私の認識はより一層ふんわりしていました。友人たちへ救援要請を送り、図書館にも行けないホテルでどうにか書き上げました。そのつもりは毛頭なかったので無問題といえばそうですが。

 委員会では、たまに「総会」という行事があります。その総会では、あらゆる局のあらゆる部、あらゆるプロジェクトの担当者が自身の仕事についてプレゼンをします。もちろん我が対外部も例外ではなく、以前はプレゼン資料を作っておいてくれと頼まれたこともありましたが、完成した表紙を見ただけで却下されてしまいました。非常にシンプルでかつ白文字を使っているので暗い部屋にプロジェクターで投影された際の視認性も高いという自信作なのですが、いったいどこが気に入らなかったのでしょう。

 さて、対外部は置いておいて*2、これは普段知る以前に関わる機会のない他部署の活動について知る貴重な機会でもあります。特に総務局は何をやっているのかすらわかりません。

 もっとも、ここで話される内容の7割は対外部と無関係です。残り2割は不本意な関係で、最後の1割のみが真に関係のある内容です。ですから、まともに聞くのも馬鹿らしいというのが実情なのです。

 まぁ、対外部が集めた資金を使って活動しているという点に着目すれば、ほぼすべての企画が関係あるという見方もできるでしょう。内訳とかは知りませんが。しかし、我々が企画内容に影響力を持つ訳でもなく、つまりは「おまえらが稼いだ金をこんなことに使いました」と(ものによっては正直意義がわからない)企画を紹介されるだけの一方通行です。誤解上等で思いっ切り下品に言うのなら、NTRビデオレターが近いでしょう。

 そんな感じの企画の中に、近隣大学とコラボして香水を作るというものがありました。両者をイメージした香水を作るらしく、よくあるキャラモチーフ香水の大学版といったところかもしれません。その大学に知り合いがいるでもなく、どうせ高い香水を戯れに買える余裕もないので興味はありませんでした。

 ところが、委員会の敵としておなじみの学生生活課*3から例によってケチがつき、香水企画は流れたそうです。ここまでなら我々とは一切関係ないはずでしたが、なぜか「近大*4とコラボする」という事実だけが残されました。そして、そのお鉢がこれまたなぜか対外部へ回ってきたのです。

 どうやら、広報的なコラボならいいと学生生活課から言われたらしいのですが、どうしてそこでやめずに話を受けてしまったのかは謎です。我々からしてみれば企画局の尻拭いでしかありません。しかも、時間は少ないし予算は1円も使えず、付け加えるなら校章の使用許可や校内の撮影許可も降りないとのことです。

 友人に誘われるまま相手側との会議に参加したものの、どこかずれているようでした。こちらの思惑が正しく伝わっていないように見受けられます。どうせ相手も同じようなことを思っているのでしょう。私の興味は瞬く間に消え、今では誰の顔も名前も覚えていません。

 案をいくつか並べたくらいで会議は終わり、弊学の者だけで話し合いました。今回はスネークや他の局のオサがいましたが、ここで責任者を決めてゆくゆくは対外部に任せるつもりらしいのです。

 かねてより、私は存在意義の消失を感じていました。対外部は仕事が常にある部署ではないので、特に対外部の仕事がない日に他の部署が忙しそうにしていると申し訳なさで消えたくなります。対外部での食事会を企画したのはそういう役での存在意義を得ようとしたためでもありましたが、バーベキューと花火の件で重大なダメージを負いました。

 季節には、それぞれ限定のアクティビティがあるものです。春であれば花見、秋であれば紅葉狩りといった具合に。そして、夏にはわかりやすく楽しそうでしかも運動能力をあまり必要としないものが複数あります。

 それがバーベキューと花火です。スイカ割りもありですが、せっかくのスイカを割ってしまうのはもったいないことですし、今日では会場の確保も困難です。それに、このふたつは去年も委員会で開催されましたから受け入れられやすい環境下にあります。

 そんな訳で、私はバーベキューの企画を検討していました。7月末には期末試験や課題があり、人によっては最終週の試験週間に授業とは別枠で試験が控えています。その2週間前からは委員会の活動も休止します。遊びの予定を切り出していいタイミングを慎重に見計っていました。

 ところが、他の者がすっと企画を立ててしまったのです。続いて花火も企画されました。広報局全体を対象とした規模の定番企画を失った今、私には何も残されていません。とはいえ参加はしたいので、消えそうになりながらも当日の予定を確保しました。

 計画は進み、当日の役割も決まりました。現地で準備を進める班と買い出しに行く班に分け、さらに買い出し班を品目ごとに4-5名のグループへと分割しました。私はその他班でした。買い出しという大義名分をもって酒を買い込める役です。

 なんだかんだ楽しみにしつつ日は過ぎていきましたが、前日だか前々日になって企画者が「感染者が非常に増えているので決行するか延期するかをアンケートする」と言い出しました。私がこれに気づいた時にはすでに両者が拮抗しており、決行派に入れて*5応援しました。

 アンケートを注視していると、だんだん延期派が優勢になり、そのまま終わってしまいました。最終結果は8対9です。GG。それを反映して、バーベキューは延期となってしまったのでした。

 ところで、これ数字が反対だったらどうなっていたのでしょう。今回は延期派が上回ったため延期になりましたが、もし決行派が上回っていたら、はたして本当に決行されていたのでしょうか。決行すれば自分の体の心配というデリケートな問題を無視すると捉えられるかもしれませんし、延期すれば民主主義の崩壊です。

 どっちにせよ延期していた可能性は否めません。今思うことは、私が企画しておくべきだったということです。そもそもこんな投票をするから悩むことになるんです。私だったら、こんな投票などしなかったでしょう。

 未練たらしい限りですが、表記はあくまで延期でした。次にこの話が全体へ上がる時に、どうにか企画者として成り代われないか考えています。そうなった暁には、何が起ころうと決行する所存です。

 当初は、バーベキューが潰えたなら花火を企画すればいいと考えていました。ですが、バーベキューの話から間を置いた方がいいかなと思っているうちにまたもや他の者が企画してしまったのでした。

 花火の方は順調に進んでいましたが、日程調整が難関でした。アンケートをしてみても、8月の予定はもう動かせないようで、もっとも多くの人の予定が合うのは9月中旬だというのです。これではバーベキューの延期もそれ以降になりそうですね。

 この調査は全学年を対象としたものではあり、もちろん3年生も含まれています。違う生活を送っている以上、そもそも予定がそう簡単に合うことはないのは確かです。しかし、今はそれに加えてインターンをはじめとした就活関連の用事がある可能性が大きいのです。

 自分だけインターンをしていないことや抗いようのない流れが来ていることへの焦りともうみんなで集まれる機会は残り少ないことへの悲しみでぐちゃぐちゃになっていました。委員会にいて楽しいのかつらいのかわかりませんね。

 

 

 

<アルバイト>

 多くのものごとは相対的に評価されます。比較対象があるからこそ、そこに優劣が生まれるのです。

 かつて、私はアルと比較されていたのだと思います。その頃、私は積極性が足りないみたいなことを言われ、アルマンはその愚痴をアルに溢していたと聞いています。新人用チェックシートが義務化されたのも、このような背景があったからなのでしょう。

 そして現在、どう自己の内面と向き合ってみても、私は私のことを積極性があると思えずにいますし、その点では特に成長が見られないと信じています。今でも私が客に自分から話しかけることはあまりなく、新しく習得したPCでの暇つぶしはこれを加速させました。

 ところが、アルマンやダーウェントから私への評価がなぜか上昇しているような気がします。驚くべき現象です*6。私が変わっていないのに、相対的に評価が変わったのです。

 新たな比較対象は新人たちです。より新参の兎が原因かと思いきや、多少は慣れてきたはずの新入社員が問題でした。しばらく私が出勤しなかった後でも、それは変わっていないようでした。

 新人が覚えるべきとされていることは数多くあります。レジの打ち方、接客用語、設備の場所などです。その中でも、非常に時間のかかるものが商品知識です。商品についての質問に答えるだけでなく、状況を聞いて自分から適した商品を提案する必要があるため、避けては通れない項目です。

 さて、なぜすべての商品に用意されていないのかはまったくもって不明なものの、一部の商品にはその特長や売りをまとめたテキスト*7があります。所詮はパッケージの裏側に書いてあることの延長程度とはいえ、何も知らない身には役立つものです。そのためか、ある日の新入社員はその紙を読んで覚えるよう命じられていました。

 その時に私は横でアルマンとシフトについて話していましたが、途中で新入社員が割り込んできました。以下は、新入社員とアルマンとの会話ログを再現したものです。

 

「もうふたり欲しいですよね。そうすればシフトを回すのも楽になると思います」

「別に今のままでも十分だと思うけど、何を言ってるの?」

「この店の現状を変えるために僕なりに考えた提案です」

「そういうのはいいから。というか、さっきも言ったけどそんなに話しててそれ覚えられてる?」

「そうですね、今僕話してますよね」

「?うん」

「じゃあ無理ですよね。そういうことです」

 

 どこまでも斬新な返しです。おとなしく仕事に戻るか、もしくはせいぜいできてると胸を張るかのどちらかだと私は思っていました。仕事が進んでいないことを認めるどころか、それがさも当たり前なことのように振る舞うのは並の図太さでは到底不可能なことです。

 近頃では、出勤する度にアルマンかダーウェントから新人たちの愚痴を聞かされています。アルも昔はこうだったのかもしれません。ごめんなさい。でも、今回のふたりはどうやら前代未聞のレベルらしく、これから彼ら(とアルマンの胃)がどうなるのかは誰にもわからないのでした。

 

 

 

<506番房>

 ご存知の通り、中旬に感染者となりました。よくここまで無事だったものですが、ここまで無事でいられるのならもっと遊んでも大丈夫だった気がしてきます。どうせいつかは死ぬのなら、遊んでから死んだ方がいいに決まっています。最近が楽しくなかったとは言いませんが。

 7日間の生活について詳しいことは506番房記録に書いてあるので、万が一興味があればそちらを読んで頂きたいところですが、あれはあくまで私の日記みたいなものでした。ここではバラバラに書いた記録を混ぜてからどうでもいい部分を抜き出したもの、すなわちこれから宿泊療養に行く人が読んだとしてどうにか毒か薬なら薬寄りなプラシーボ丸薬を書いておきます。

 まず書くべきは、収容施設へ持ち込む物についてでしょう。入所時は自宅まで車が来ました。私は車に詳しくないので車種を記すことは叶いませんが、6-8人乗り規模だったと思います。それに乗っていたのは運転手と私を除けばひとりだけでしたが。そのおかげで使われていない後部座席にスーツケースを置けました。

 さして大きくもないスーツケースひとつの荷物で1週間は少し怪しいところだと思いましたが、どうにかなりました。着替えは人によって必要な量が異なるでしょう。コインランドリーは使えないため、洗濯を自分でするかもしくは洗濯を放棄するかのどちらかになります。時間は有り余っているので、少しでも荷物を減らしたいのなら洗濯は有効な選択肢です。

 とはいえ、私のいた施設では換気装置が浴室のものしかなく、日によっては明らかに力不足でした。到着した日は特に湿気ていて、さっき受け取ったばかりのプリント類がしんなりしていました。洗濯するにしても数着は持って行った方がよさそうです。

 服を洗濯も着替えもしないというルートもあります。人と会う機会はほとんどありませんし、会うにしても相手はたぶん一期一会です。囚人仲間を作るのは⋯⋯それはそれでいいかもしれません。部屋から出ない生活なら汚れも少ないはずです。私はそう自分に言い聞かせて面倒な洗濯を一切しませんでした。

 飲食物については後述しましょう。簡単に言うのなら、基本的なものはすべて配給されますから心配無用です。買い物には行けないため、嗜好品の類が必要なら持って行った方がいいでしょう。特に甘味は不足します。水とお茶以外の飲み物もです。菓子食べて粉末スポドリ飲んでゲーム三昧の税金ホテル暮らし、ちょっとよさそうじゃありません?

 ゴミの回収が燃えるゴミと燃えないゴミだけであるため、缶やビンを捨てることはできません。ジュース類や魔剤もそうですが、酒が飲めません。差し入れで持ってきてもらうと弾かれるそうです。最初に持ち込む荷物は検査されないため、持ち込んで収容中に飲み、保持していた容器を退所時に持ち帰るという手であればできなくもなさそうですが、1週間前後分の酒はかなりの容量を喰います。スピリタスのような濃い酒を持ち込み、配給の水で割って飲むのが現実的そうです。

 煙草はおそらく酒以上に困難です。部屋には火災報知器があり、喫煙所もありません。窓を開けられる施設ならまだ可能性が残されているかもしれませんが、諦めるのが無難そうです。噛み煙草みたいなやつならいけるのでしょうか。どういうものかはまったく知りませんが。

 バスタオルはひとつあればどうにかなりました。風呂場にしか換気扇がないと書きましたね。浴槽のカーテンと同じところに下げておけば、翌日にはきちんと乾いていました。それくらいの換気能力はあったようです。部屋にバスタオルはあったものの、これは使い捨てだったので持ち込むとよさそうです。

 ボディソープ、シャンプー、リンスは備え付けのものがあったので、それで事足りました。肌に問題があったり好みがあるのなら持って行ってもいいでしょう。髭剃りや歯ブラシのようなアメニティも同様です。髭剃りや歯ブラシに加え、ティッシュやトイレットペーパーは後述する配給所で入手できます。そうそう切らしはしないでしょうが、ひとりで切らす羽目にはなりたくないものですね。

 部屋にはひと通りの環境が揃っていて、PCで調べてレポートを書く程度であればまったく問題ありません。回線は決して速くないのでオンラインFPSなんかはちょっと怪しいところかもしれませんが、できないことはないでしょう。ケーブル類は持ち込む必要があります。ただし、私がいた部屋はテレビにHDMIを接続できなかったため、ここについては事前に調べておく方がいいと思います。もし使えるのなら格段に過ごしやすいでしょうね。

 テレビはホテル仕様です。ルームサービス機能は使えないものの、地上波を観る分には不自由しないはずです。HDMIやディスクなど外部からの干渉はできないため、個人で加入している配信サービスを観ることは叶いません。一方、本来は有料らしいホテル向け配信サービスが無料開放されていました。後から金を取られることもないので、これで映画を観るのもまた一興でしょう。

 机と椅子もあります。机にはコンセントがあるので、短いケーブルでも安心です。ただ、机は壁にくっついているので机を使う際は壁と向き合う形になるのですが、壁にはかなり大きめの鏡があります。ふたのようなものもないので、自分と常に向かい合わねばなりません。どうにかして鏡を覆うことを勧めます。

 電気ケトルもあります。後述するインスタントスープやコーヒー、味噌汁に使うといいでしょう。私は面倒がってあまり使いませんでしたけど。

 冷暖房はある程度調節が効きますが、冷房なのか暖房なのかを個人が操作することはできないそうです(これについてはよくわかりませんでした)。温度調節は一応できるようです。

 ベッドはひとりが寝るのに不自由ないサイズです。寝具が硬すぎるようなことはありませんでしたが、枕はひどく薄かったです。とはいえ枕はスーツケースの容量を喰いますから、持ち込むかどうかは考えどころです。寝具も滞在中の交換や洗濯はなく、同じものをずっと使うことになります。さすがにこれを自分で洗濯するのは無茶でしょう。なお、入所時に渡される書類の中には収監中のルールがあり、そこには退所時にシーツなどを配給所まで持ってくることとありましたが、実際にはその必要はありませんでした。

 衣食住の内、これで衣と住は書きましたね。後は食とそれ以外です。まずは配給所について書きましょう。

 食事は弁当が毎日3食配給されます。配給所はホテル1Fにあり、弁当の他にもペットボトルのお茶と水、紙パックの野菜ジュース、インスタントコーンポタージュやインスタントコンソメスープにインスタント味噌汁、インスタント茶類が配置されています。特に監視はなさそうなので、良心が許す限り取ることができます。弁当はひとりひとつですが、他のものと同じように棚に並べてあるだけです。

 他にはトイレットペーパーやティッシュペーパー、髭剃りに歯ブラシなどの日用品と回収したものを部屋まで持ち帰るためのビニール袋があり、また片隅にはゴミ箱があります。回収しているのは燃えるゴミとペットボトルだけなので、基本的にはペットボトルか否かという分別だけすれば大丈夫です。

 弁当の中身は、基本的に米とメインおよびサブのおかずから構成されています。サブのおかずは数品ありますが、既製品を組み合わせているというか、例えばある弁当に入っていたサブおかずをAとBとCにするのなら、別の日にAが出ることもあるし、BとCが入ることもあり得るといった具合です。

 ただし、たまに異なるタイプの弁当が出されます。私の収監中に2回だけでしたが、他の弁当とは違って紙製の箱に入っています。中にはサンドイッチやスコーン状のものが入っており、朝食向けのようでした。

 各階のエレベーター前には電子レンジが配置されていて、弁当を温めることができます。サンドイッチはラップに包まれており、また昆虫向けのような小さなゼリーも入っていたので紙箱の日は注意する必要があります。

 弁当はどれもそれなりの量があり、また質も悪くなかったので私は利用しませんでしたが、足りないという場合にはカップ焼きそばを要請できるそうです。体調によっては消化のよいものや経口補水液を要請することもできます。

 配給は日に3回行われ、30分前にはなぜか準備を開始する宣言が放送されます。部屋から出ないようにとも言われますが、これはいつものことです(基本的に配給を受け取りに行く時以外は部屋の中にいなくてはなりません)。食事という言葉を聞いてすぐに飛んでいくような生物だと思われているのでしょうか。

 なお、途中からは2部制や3部制が導入されました。人が多くなってきたからだと思われます。弁当とペットボトルの飲み物が不足することはありませんでしたが、他の配給品については配給所に行ってもないことがありました。どうせここにいるのは感染者ばかりなのに、どうしてここまで隔離するのかは謎です。

 最後にもうひとつ、収監中の健康管理について書いておきましょう。入所者は最初にあるwebサービスへ登録することになります。以後、日に2回このサービスを通じて体調や体温、酸素濃度を提出するのです。記録は7:00と16:00にするのですが、遅れていると電話で催促されます。これもこれで鬱陶しいのですが、問題は朝です。6:45に「そろそろやってね」放送があり、これに起こされるのがとても嫌でした。

 食事はまぁしょうがないとして、これのせいで1日が結構細切れにされます。まとまった時間を取るのが困難になるのです。放送のスイッチを切れたならよかったのですが。

 さて、私が収監された新宿のホテルはこんな感じでした。今はちょっとパンク気味で入るのも難しそうですが、もしこれからあなたが感染することがあれば、これを検討してみてもいいのではと思います。税金でホテル暮らしできる機会はそうめったにあるものではありませんからね。食糧支援の要請も忘れずに。

 

 

 

<Steam>

 『NEEDY GIRL OVERDOSE』のグッズを注文しました。あめちゃんと超てんちゃんの抱き枕カバーです。なお、抱き枕本体は持っていません。

 カバーを買うのも初めてのことでした。カバーといえば、リテュエルの抱き枕カバーを思い出します。これは神バハにまだ力があった時代のコミケで、サイゲが出した公式グッズです。グラブルではナルメアやヴィーラが発売されていましたね。これらと同じく、ボイスドラマのディスクも付属していたそうです。ウマ娘では出さないんでしょうね。2次創作関連のごたごたのせいであの作品には手を出さないまま終わりそうです。

 神バハの過去のグッズ、それもコミケで売られた高額商品ともなれば現在での入手は非常に困難です。過去のアニバーサリーリアルカードセットと合わせ、私の中ではサンカラ・ストーンや聖櫃のように聖遺物のような扱いと化しています。オークションで競り落とせればいいのですが、出品自体が非常にめずらしいことです。

 リテュエルの聖布と円盤(こう書くと本当に古代文明の遺産みたいですね)はそれこそ博物館に収められるべき品ですが、あめちゃんも大事な品であることに代わりはありません。このまま暗所に保管してもいいのですが、飾りたい気持ちもあります。

 ポスターとは違い、布であるからにはそれなりの重量があるでしょう。それを吊っていて伸びたりしないのかとか、部屋のどこならば日光に焼かれないのかとか、そういったことについて私はあまりにも無知です。こういうことを教えてくれる授業があればいいのですが。

 

 

 

 

<PS4>

 ホークス・ベイに続くステージは、なんと急にアメリカのマイアミです。クローンシュタット社という企業ビルの近くでカーレースが行われています。今回のターゲットは社長とその娘で、娘はレーサーとして出場しているのです。

 顔が見えませんね。

 こっちは不気味です。右側の男のTシャツにプリントされているのがシエラ・ノックス、ターゲットのひとりですね。

 なお、ここから最初はスタートするのですが、奥のゲートにそのまま入ろうとするとチケットがないので不法侵入扱いになってしまいます。エリアも結構広く、変装の種類も多いのであまり初心者向けではないような気もします。

 ゲートの奥には各出場社のブースというかバーというかが広がっています。なお、それぞれの会社ごとに整備クルーの変装があるので総数が多くなっています。そのステージにある変装をすべて着るというチャレンジがあるので、結構大変です。

 これは表彰台です。大抵、NPCは決まった行動を繰り返すのですが、このステージでは時間が経つとレースが終わり、こうして派手なパフォーマンスと共に優勝者が祝われます。見えますかね?まだ黒焦げにはなっていないはずです。

 なお、レースの順位は47が操作できます。レーシングカーに細工したり、旗を振る人に変装して特定の車をルール違反判定にできるのです。された側としてはたまったものではありませんね。

 レース会場を離れた会社の中では製品の展示会が行われています。これはアンドロイドのデモンストレーションのようです。眼のカメラを通した映像が映されていますね。

 彼が開発者のようです。背中に落書きを貼る悪戯、海外でもやるんですね。それとも、彼が嫌われているだけかもしれません。独特な髪型ですからね。

 どうやらKAIはここの製品だったようです。北海道のガマ病院で使われていたAIと手術ユニットですね。ヒットマンシリーズはこういう繋がりを仕込んでくれるので好きです。

*1:ちんすこうフラペチーノ

*2:どうせほとんどの者は金の出処になんて興味ないでしょうから

*3:「学生のやることなすことせせこましくいちゃもんをつけて片っ端から潰す課」の略であるとされています

*4:近隣大学

*5:完治してすぐの無敵状態でしたからね

*6:もっとも、ダーウェントは元から私を過大評価している節がありました

*7:教科書じゃないですよ

はじめてのクラブにソロで行くべきではない 前編

 ある日、弊学部全体グルに他学部の4年から告知が投下された。渋谷で清掃活動をし、その後クラブでパーティーをするらしい。効果はすぐに現れた。6名がグルを抜けたのだ。

 確かにどうみても怪しい。カルトは清掃ボラを隠れ蓑にするという噂だし、何よりクラブに入り浸る者に慈善活動をするような善の心があるとは考えにくい。知り合いの誰も行かないようだ。

 この方面に詳しい知人はおらず、相談もできない。しかし、裏を返すならこの文化圏に入るきっかけがまずないということでもある。迷いに迷った末、初めてのクラブへソロ潜入することにした。

 当日は雨だった。清掃活動は中止されたので、アフターパーティーだけが残った。本末転倒な気がしてならないが、どうせ彼らの本命はこっちだろう。むしろなぜ申し訳程度の清掃活動を挟んだのか不思議なくらいだ。現着すると、ドレスコードの黒ずくめが何人もいた。ひとり列に並ぶ。

 入り口では黒人が警備をしている。身分証の提示と荷物検査を求められた。特に説明もなく当然のようにペットボトルが盗まれ、早くも好感度が0になった。もしこれが液体爆弾だったら黒人の体は吹っ飛んでいただろう。肌の色は違えど、肉の色は人類皆同じだ。

 入場料は3000円だった。SNSでこのイベントをシェアした場合の価格だったはずだが、特に確認はされなかった。予定通り投稿を削除する。誰かに見られれば恥だ。

 メインは2Fで、大音量で音楽が流れている。1Fはそれよりもいくらかソフトだ。3Fでは食べ物が売られ、B1Fでは興味のない芸術作品が展示されていた。鏡とライトに包まれた通路を覗くと、そこはトイレだった。手洗い鉢や鏡が中にあり、それ単体で完結するような個室が連なっている。

 2Fに入ったものの圧倒され、『Sweet Dreams』に釣られて1Fに落ち着く。とはいえ、こう騒がしく流されてはせっかくの名曲も台無しだ。近くのソファが空き、これ幸いと座ろうとした。すると、足元に入場時にひとり1枚渡されるドリンクチケットが落ちていた。これ幸いと懐に収める。ビギナーズラックはどこにでもあるものだ。

 ひとり座っていると、女がふたりやってきた。彼女らはまだ19で、成年用の2Fには入れないのだ。会話を続けようと試みるも、周囲の音が大きくてそもそも話すのに向いた環境ではないし、何を話せばいいのかもわからない。

 いくらか話す内に、女から「2Fに行かないんですか?」と聞かれた。2Fから撤退したばかりだし、酒1杯で今から残りを凌ぐのはつらい。そう伝えたのだが、NPCのように何度も同じことを言ってくる。どうやら、どこかへ消えて欲しいらしい。

 5回は言われただろうか。女の不屈さに敬意を表して2Fへ向かう。フロアは人と音と光に満ちている。さっきの女は「女の子捕まえないんですか」とか言っていたが、そう簡単に話しかけられるのなら苦労はないし、どの女にも男がいるように見える。

 結果、ひとりで酒を呑んでいた。レッドブルウォッカを混ぜたものだ。普通に呑んでいては到底保たないので、唇を湿らせるようにちびちびと呑む。音量が凄まじく、床も自分も震えているのがわかる。こんな場所にいては、若くして補聴器の世話になることだろう。

 バーカウンターの凹凸にはまって腰を休めていると、受動喫煙などお構いなしのヤニカスが隣に来る。周囲はカップルばかりだ。公然とキスしたり腰と腰とを押しつけてヘコらせる者もいる。とっととラブホへ消えて欲しい。いちゃつくカップルの体が当たり、私のグラスから大事に節約して呑んでいた酒が溢れた。

 この貸し切りは22時までで、そこからは一般客も入ってきた。ここで帰ってもよかったのだが、せっかく入場料を払ったので閉店まで居座ることにした。ここから5時までの耐久戦が始まる。道連れは拾ったドリンクチケットだけだ。

[2022] 7月に書く、6月の生存報告

 去年の今頃何をしていたか思い出せないのはもはやいつものことですが、ここまで暑かったとはちょっと思えません。サンダルを履いたら多少はマシかと思ったのに、サンダル本体が熱くなって結局脱いで過ごしました。あったかなかったかよくわからなかった梅雨も、もう息絶えたようです。

 オタクは好きなものの布教となるととかく早口になりその結果引かれがちですが、相手が引く時にはすでに全巻送り付けているというアクロバティック布教をするファンがいるらしいことでおなじみの『ワールドトリガー』を、貸してもらって読みました。他人から漫画を借りるのも久しぶりです。

 1巻を読んだ時点では、遊真の「自由奔放に振る舞ってなんか指摘してくるマレビト」ムーヴが苦手かなと思っていました。とはいえ、読み進める内に結構こういうバトルもの好きだぞということが再認識されました。あと、面白いキャラが好きなことも再認識されました。

 単行本が出ているところ*1まで読みましたが、生駒隊と諏訪隊、那須隊が今のところのお気に入りです。しばらくはB級部隊がメインだったので、そろそろ出てきそうなA級部隊の活躍が楽しみですね。また、ポケットに手を突っ込んだまま戦うタイプのキャラが性癖ということが判明しました。ここだと二宮さんがそうですね。他だと、空条承太郎が有名でしょうか。コンパスにいるギルガメッシュも近いかもしれません。

 これまではスタンドをはじめ個々が特有の能力を持つ作品に触れることが多かったように思いますが、黒トリガーや玉狛第二製はさておき基本的にはそれぞれが同じ武器や能力で戦うのがワールドトリガーです(キャラによってはアレンジも加えられますが)。敵が次々に新たな能力で登場し、その謎を解いて反撃に転じる展開も好きですが、同じものの組み合わせが無数に出てくるのもいいものです。

 遡ること数年(時間を数えるのは苦手です)、成人式の頃にもしかしてこのままだと式の後の同窓会に誘ってもらえないのではという懸念があったため、私は高校への通学に同じ車両を使っていた女(互いに互いを認識していましたがついに話すことはありませんでした)にコンタクトを取りました。その時はLINEグループに潜り込むことこそできたものの、成人式が流れたこともあって何も起こりませんでした。

 そして現在、私は同窓会じみたものを開催するために動いています。賛同者数名の協力を得て連絡を取り、20人弱をグループに招集しました。よかったら来てくれという誘いに応じてグループに来た以上は参加意思があるのでしょうし、幸先のいいスタートです。

 ところが、賛同者はそこまで楽観的ではありません。グループにおいて、私が業務連絡をするだけになっているのが懸念点なようです。実際、既読は表示されるのですが他の者が何かを話したことはこれまでにありません。スタンプや反応を示す者もないので、きちんと伝わっているのかもわかりません。

 確かに憂慮すべき事態かもしれません。彼らは本当に興味があるのか疑いたいくらいです。しかし、ならばなぜ「気が向いたら」とか「よかったら」という逃げ道まで与えたのにそれを蹴って参加したのでしょう。私の経験*2によると、女は仲良くする気のない者にはSNSを知られたがらないものです。集まった者の内、男はほとんど友好的な者でしたが、女の中には敵対的とまではいかずともあまり付き合いのなかった者もいます。

 じつに不思議な現象です。興味があるのかないのか、まったく見当がつかないのです。一旦グループに入ってしまえば、連絡先が知られてしまう上に少なからず時間を割かねばなりません。抜けるという選択肢こそあれ、10年越しに話しかけてきた未知の存在を信用しなければグループには入らないはずです。私は真名を明かした上で相手の真名を言い当ててから誘いましたが、私の名を騙る敵性存在である可能性は否定できませんし、私が私だとしても本当に同窓会を開くかまではわからないと思います。

 もちろん私は同窓会を開く気ではいますが、これはあくまで私の我儘です。ストレートに生きてきた者たちはもう大学生活最後の年ですし、私と同じ学年だとしても就活が忙しくなってくるであろう頃合いです。予定を合わせるのは至難の業といえるでしょう。

 ろくに繋がりが残っていないコミュニティの中で同窓会を開くには、長い間連絡を取っていなかった構成員を探し出し、各々厳しい中で都合を擦り合わせ、彼らの趣味嗜好や価値観もわからないのに内容を企画しなければなりません。考えれば考える程、私には向いていないのです。賛同者からも、何度かおまえがやるのは意外だと言われました。私もそう思います。

 

 

 

<学校>

 前回の対外部食事会は、2年生+3年生(+4年生+院生+社会人)でした。そこで、今回は新入生を含めて開催しました。6人中4人も来てくれてありがたいことです。

 今回の会場にはシュラスコの店を選択しました。学校に近いエリアはやっぱり家から遠いため、あまり詳しくはありません。下見に行ける財力もないので賭けに出るしかないものの、どうにか今回も悪くないところを引けたようでした。

 本来は食べ放題がメインらしいのですが、食べ放題コースは高いのでお試しと銘打たれたコースコース*3を選びました。お試しとはいえシュラスコもちゃんとあります。

 質も量もいいものでした。食べ放題ではなかったはずですが、シュラスコの際には串と刃物を持った店員が来て、欲しい分だけ切り落としてくれました。なるほど、食べ放題ならこの切り落としチャンスが何回でも来るということなのでしょう。

 肉がおいしいのはもちろん、パイナップルも欠かせません。私は甘いものが好きですから、酢豚に入っていようがシュラスコに入っていようが大歓迎です。フルーツサラダもいいですね。かつて給食で出た蜜柑混じりのサラダが懐かしいです。

 ゼミの教授の元でのアルバイトも続いています。作業自体は順調に進んでいるものの、そもそもの量が多いのに対し我々はたったふたりなので、夏休みまでに終わるかどうか怪しくなってきました。後期に入っても続くのなら、私としては金が入ってくるので問題ないのですが、そのデータを教授が使えないのではと心配です。

 ゼミは図書館を扱うものであり、私が受講している他の授業も司書課程が多めです。その司書課程にいる者たちは、だんだん覚えてきました。今回はその内の何人かについて書いておきましょう。

 ある授業では、辞書や事典についてグループワークをしました。グループごとに割り当てられた資料を分析するのです。その最中、どこかふわふわした女と一緒になりました。後日、英語の授業が実は同じだったことが判明したのですが、それが金曜日だったこともありますし、以降はフワンテと呼称します。

 フワンテは、ブランドものっぽい筆箱(革っぽくて何やらロゴがあります)と持ち手に節のある黒い傘を所持しており、これで識別しています。雰囲気が今時の若い女という感じなので肉*4を介した個体識別は困難なのです。若い女の肉はどれも似ています。

 さて、そのフワンテ、それなりには標準的な熟語が読めず、その意味もわからないようでした。逐次とかでしたかね。こう書くと私がイキってるみたいですが、20年も生きていればどこかで見聞きするものだと思っていました。

 しかし、それを知らない一方でフワンテはきちんと大学に入学していますし、3年生になるまで生き残っています(そういえば、去年同じクラスにいた留年生の男のことは書きましたっけ?女にノートを取ってもらってて憎らしい程羨ましかったものです。今頃不幸に見舞われていることを願います)。上述した英語の授業はTOEICの成績によって割り振られているので、私と同程度には英語もできるはずです(なお、私とフワンテがいるクラスは少なくとも最低ではないことが判明しています)。人間とは不思議なものですね。

 フワンテは授業が終わるや否やすぐに姿を消します。ですからこれまでの親交はノートを貸したくらいです。他の受講者も孤高を貫いていたり3人組で完成していたりと司書課程受講者の集いは望み薄です。もう3年目ですし、急に来年になって情勢が変わることもなさそうです。

 この3人組は、多くの授業で見かける存在ですが、ろくに話したことはありません。ある時、その中のひとりに休んだ授業の内容を聞きましたが、心底私に興味がなさそうでした。会話を早く切り上げたがっている気がして、結局はフワンテセカンドオピニオンとしました。いいきっかけだと思ったのですが、そうではなかったようです。

 とはいえ、どんな時にも希望は残っているものです。ゼミの教授のアルバイトはかなり長い間ふたりだけでしたが、今になって新人がやってくる可能性が浮上しました。同じ授業を受けてはいるのですが、なぜかその数はフワンテや3人組と比べて少なめです。辞書のグループワークがある授業はまったく同じ内容のものが2つ*5存在し、私をはじめ大半の受講者が片方に集中しています。もう片方にはソロとその女しか残らないくらいです。なぜかそのまま開講したため、ソロとその女はすでに知り合いでした。もっとも、ソロは私と同じく人の肉を覚えにくいため、肉を記憶したのはつい最近のことのようでしたが。

 3人目が加われば、作業はかなり楽になると思われました(一方で気を使わず好きな曲を小さめに流してもいいような職場環境が変容してしまうのではと懸念も示されました)。そのため、我々は彼女をサードチルドレンもしくは単にサードと呼称しています。申請に時間はかかるようですが、サードの到着が楽しみです。

 

 

 

 <アルバイト>

 以前書いたかもしれませんが、本社の新入社員が派遣されてきました。しばらくはダーウェントや我々と同じように店員として働くようです。次々に人が消えていく中、不足しているのはレジ締めの人材でした。

 覚えればなんてことはない作業ですが、最初の頃はちょっと難しい点もあります。そこで、最初は他の店員がやるのを横で見て覚え、次第に任せる量を増やしていくという方法が行われていました。私の場合もそうでしたね。

 最初の最初にレジ締めを教えるのは、店長たるダーウェントでした。この時点でもう不安です。店長の教え方はひどく大雑把で、新人に教えることに向いているとは言い難いところがあります。

 後日、新人に聞いてみたところ、その日はあろうことか「今日は時間ないから」と説明もろくにせず自分ですべて終わらせてしまったそうです。当然、新人は横で見ていることしかできませんが、何もわかるわけがありません。

 幸運にも、私がレジ締めを教わったのはダーウェント以外の人々でした。見て盗むなんて今日日流行りませんし、特に私はそういうことに向いていないと思います。

 このことを聞いたアルマンは、毎度毎度の店長の適当さに頭を抱えました。今に始まった話ではありませんし、ましてや今回は相手が新人です。人手不足かつベテラン不足な昨今、早く新人に育ってもらわねば困るのです。

 ところが、少し後になると、アルマンはなぜか店長と一緒になって頭を抱えていたのです。店長が「教え方が悪かったのかなぁ」と言っても慰める始末です。これはいったい、どうしたことでしょうか。

 レジ締めを教えることになるのはダーウェントだけではなく、アルマンも該当していました。そして何度も丁寧に教えたのですが、いい返事が返ってくるばかりで覚えないのだそうです。

 メモを取らないのも不満要素らしく、言うと取ろうとはするのですが、それは携帯のメモだそうで、これもまた機嫌を損ねていました。いざ紙に書かせてみても、恐ろしいほど乱れて解読困難な字が出力されます。私でさえ読めない箇所があったくらいです。

 まとめるのなら、新人は(店での業務内容はさしてバイトと変わらないものの)バイトではなく社員であり、学生バイトみたいな意識でいるのがアルマンの癪に触るようです。この有り様には普段アルマンよりずっと温厚な別のスタッフまでもが不満を抱き、あまり接する機会のない私以外の全員が頭に来ているようでした。

 それはダーウェントも例外ではなく、どこかで新人と1時間ばかり「おはなし」したそうです。内容までは不明ですが、新人が涙を流す結果に終わりました。

 なお、共通の敵を得て多少は軟化したかのように見えたアルマンとダーウェントの関係は、まもなく元通りになりました。本来なら新人の教育は同じく社員であるダーウェントがやるはずなのに、最近ではなにかと理由を作っては裏に引っ込んだりオーバールックに来なかったりして、その皺寄せがアルマンに来たからです。

 アルマンも黙ってはいません。報復としてシフト表を都合よく操作し、さらに裏に引っ込む口実となるような仕事をあらかじめ潰しました。ダーウェントをなにがなんでも逃がさない構えです。

 さて、深刻な人員不足はさすがに本社も認識しており、以前から新人獲得作戦が展開されていました。結果、新人(以降は新入社員と呼称します)の他に2名もの新しいアルバイトを獲得するに至ったのです。このことは5月末の時点で実はすでに判明しており、私と同い年の男と年齢不明なものの若いと思われる女だと聞かされていました。

 これ以前にも何人か応募があったものの、失踪したりやっぱりやめたりで、きちんと採用まで至ったのは彼らが初めてです。面接も済んでいたらしく、男の方は新入社員とアルマンが目撃していました。リュックサックに大きめの兎のぬいぐるみが付いていたそうで、兎と仮称することにしました。

 そしていよいよ兎が出勤してきました。懸念通り、私よりはよっぽど陽に近い人種のようです。いくらか話そうとしましたが、緊張のせいか馴れ合うつもりがないのかあまりうまくいきません。

 さてもうひとりの新人は、と楽しみにしていましたが、アルマンによれば契約書を書くには至ったものの父親から遠すぎると反対され、やっぱりやめることにしたようです。せっかく年下の後輩ができると思っていたのに、とても残念です。店に残る動機の45%を喪失しました。

 一方、どこかでその写真を見た新入社員は「この子かわいいですね!」とずっと言っていたそうです。どうせまたダーウェント特有のガバガバ個人情報管理の結果なのでしょう。私の住所が会ったこともない別店舗の従業員に知られたり、明かす前に本名をアルに知られたりしたことが思い出されます。ちなみに、私は写真を見ていません。

 残念なことです。はじめてできるはずだった年下の後輩は幻と消え、残されたのはどこかずれた新入社員と馴染めそうにない兎だけです。いつやめるべきか、それが問題です。

 

 

 

<steam>

 『NEEDY GIRL OVERDOSE』をある程度進めたものの、あるエンディングに心をやられて(分岐の難しさにも心をやられましたが、これは両者で別属性のダメージです)しばらく放っていました。しかし、先にクリアした者が「これは絶対に全エンディングを通るべき」と強く主張していたため、再びWindoseを起動しました。

 こんなところでうっかりネタバレを踏んでしまっては浮かばれないでしょうし詳細は伏せますが、私は重大なネタバレを踏むことなしに最後の真実を見ることができました。なお、愚かにも寝る前にクリアしてしまったので、その夜の睡眠は甚大な被害を受けました。

 これは以前にも書いたような気がしますが、ゲームにおいて私は結構くだらないことにこだわるタチです。ポケモンではなるべくイスやベッドのあるマス、もしくは雨風を凌げそうなマスでレポートを書き、SWコマンダーでは兵舎の横にカンティーナを置き、スターデューバレーでは馬を小屋に繋いでから寝ます。例はいくらでもあるでしょう。どれも別に必要のないものです。設定や世界観なんて守る必要ありませんし、非効率的です。それに、完全に徹することはできていないでしょう。中途半端です。

 これらとは別に、「敬意」を払おうとする癖もあります。これはこれで説明が難しいのですが、手間を厭わないといったところでしょうか。ストーリーにおける重要な場面では戦略的な最適解でないとしてもストーリー準拠の装備やキャラでプレイしたり、戦い方もそうしてみたりです。

 で、今回はあるループでそうしたくなって、すべてをスキップせずにプレイしました。配信も会話もイベントも、エンディングを埋めるだけならいらない部分を通って、そのエンディングを見ました。作品と向き合う方法として、私自身は結構好きですよ。

 「Fall Guys」が、とうとう無料化されました。私はPS4のフリープレイで以前から持っていたので恩恵はほとんどありませんが、誰かに勧めやすくなるのなら無料化もいいと思います。これで、パーティを組んで優勝するトロフィーを諦めずに済むかもしれません。

 このゲームにはもともとバトルパスやシーズンパスのようなものがあります。レベルを上げて報酬をアンロックできることや期間ごとに切り替わることはよくあるものと変わりませんが、このゲームではその報酬のすべてが無料です。そもそもが基本プレイ無料ではないからかもしれません。パス全体はそれなりの長さがあるものの、期間が異様に長いため完走はそう難しくありませんでした。最後の数日などはXP倍率イベントもあり、毎日時間を捧げなくてもいいつくりだったのです。

 無料化PVは(特に「無料になるッ!」あたり)楽しめたものの、以前からプレイしていたプレイヤーが入手できるというレガシーパックの存在が気になっていました。補填の有無や内容についてはどうでもいい(そもそもはフリープレイで入手した品ですし、他に入手手段のない限定品というものは悲しいものです)と思っていましたが、その中にシーズンパスの文字があったのです。

 これまで、パスは誰でも持っているものでした。ゲームの所有者はただショーをプレイし、せいぜいデイリーミッションを軽くこなしていればよかったのです。そのパスが、なぜレガシーパックに含まれているのでしょうか。何か嫌な予感がします。

 結局、予感は的中しました。新しいフォールガイズにおいて、パスは有料コンテンツでした。有償報酬と無償報酬にわかれてはいるものの、Among Usスキンの片方が有償でもう片方が無償だったりするのです。今シーズンはレガシーパックがあるので買わずに済みますが、来シーズンからは自分で買わなければなりません。

 無料化前のゲーム内通貨は2種類あり、プレイした成績を反映した量が手に入るKudos(紫コイン)と優勝かパス報酬で手に入る特別なCrowns(王冠)がありました。特に、Crownsは緩和されつつあったものの貴重な通貨で、コラボスキンや手の込んだスキンはこれをやりくりして買う必要がありました。もちろん、これはプレイしてさえいれば誰でもコラボスキンが買えるということでもあります*6

 ところが、無料化を機にCrownsは消えました。正確には、通貨でなくなりました。以前と同じく入手はできるものの、その累計入手数がカウントされるだけになったのです。Crownはクラウンランクというこのシステムに残るだけとなり、シーズン1からあったゲームを象徴するアイテムは消え去りました。

 Crownsの代わりとして登場したのが、Show Bucks(虹コイン)です。これはCrownsとはまったく関係なく、基本的にこれを入手するには課金するしかありません。そして、これを要求する場面は非常に多いことがわかりました。コラボスキンはもちろん、多くのアイテムを購入するのに必要です。

 かつてのショップは、紫コインで買えるアイテム枠がほとんどでした。それと王冠で買えるアイテム枠が3つ。これが定期的に入れ替わり、付け加えるなら右上の方に課金ウィンドウがあったくらいでした。紫コインの方が入れ替わりが早く、普段のプレイで紫コインを貯めて使いつつ数日に1度更新される王冠枠に悩むというのが私のスタイルだったのです。

 今では、1画面に収まらない程までショップページが拡大しています。ページは縦方向に大きくなり、最初にコラボスキンなど目玉商品、次にバンドル商品、さらにその下にやっと紫コイン商品枠、最後に虹コインの購入ボタンという具合です。

 紫コインの使用機会は減り、ほとんどの商品は虹コインか現金で買う必要があるのです。紫コイン枠は微妙なアイテムばかりになり、更新も以前より減ったような気がします。まぁこれについては気のせいかもしれませんが、集金路線に大きく舵が切られたのは確かだと思います。

 無料化を機に、PC版はEpic専売になりました。Steam版の販売が停止されたのです。私はこのふたつならSteam派なので、無理をしてSteam版を無料化前にわざわざ買いました。販売は停止されるものの、持ってさえいればプレイは引き続きできるのです。この路線変更も、Epicのせいなのでしょうか。

 Epicといえば、私にとってはフォートナイトと無料配布、そして専売商法でおなじみです。無料配布は結構お世話になっているのでそこは頭が上がりませんが(9割強が積まれていますがそれはそれ)、フォートナイトでは規約に「バトルパスの報酬は絶対に復刻しないからね」と書いており*7、どうしてそんなことしちゃうかなとなっています。「FORTNITE HOTTEST SKIN」で検索してバトルパス報酬しかほぼ出てこないのはとてもよくないと思います。わざわざ可能性を潰すのはよくないことです。

 いつからか、少なくとも発売後一定期間*8はEpicでしかPC版を売らないというゲームが現れました。じつはヒットマン3もそうだったはずです。自分の好きなプラットフォームを選べないのも嫌ですし、シーズン及びパスの概念や予約購入特典、ヒットマンなら加えてエルーシブターゲットのように、最近のゲームでは発売と同時に遊ぶことの意味が大きくなっている(そうしない意味も大きくなっている)のです。

 専売化されたゲームのSteamストアページでは、ユーザーがそれを理由に低評価しまくることがあります。専売商法はユーザーに好かれていなさそうですが、なくなることはないのでしょうね。

 

 

 

<PS4>

 冥人奇譚を進めました。このゲームは装備品にレベルのようなものがあります。レベルとはいえ基本的には上がらないので、ティアとかランクといった方が近いかもしれません。その合計値が上がることで基礎ステータスが上がり、高レベルマッチにも参加できるようになります。するとさらに高いレベルの装備品を手に入れることができ、これを繰り返して強くなっていくのです。

 基礎ステータスが低ければ、戦闘全般が不利になります。なので、正面から戦うキャラは向いていないと思って搦め手を使える刺客を初期には使っていました。透明化して闇討を行うキャラなので、ダメージも貰いにくいのです。ところが、回復はタンク役の牢人に頼るしかなく、アビリティがない間は回復も透明化もなしで凌ぐ必要があります。

 そこで、最近では侍を使っています。侍はアタッカーに見えますし実際そうなのですが、発動中は周囲の敵から体力を自動で吸い取るというアビリティがあるため、回復もある程度は自分で賄うことができます。メインのダメージソースとするには力不足なものの、きちんとダメージも入ります。奥義「八幡の怒り」は、透明化する効果こそないものの高火力を一瞬で出せるので面倒な鬼を手っ取り早く始末できます。

 装備の質も上がってきたので火力も出せなくはありません。カウンターや防御にも慣れてきましたが、薙刀や槍相手はまだ苦手です。奥義や暗器で仕留めることにしています。そもそも長柄武器に刀で挑むのが間違っているのかもしれません。

 フォートナイトでは、新しいシーズン?チャプター?が開始されました。とにかく、バトルパスの区切りです。そもそもフォートナイトに帰ってきたのは5/4にSWアイテムが復刻販売されたからで、さらにその後『オビ=ワン・ケノービ』の配信開始に合わせたらしいオビ=ワンのアイテムも販売されました。そんな感じに終わった前チャプターでしたが、バトルパスの終盤にはドクター・ストレンジのアイテムが配置されていました。

 今回は、そのポジションになんとヴェイダー卿がいたのです。しかも、本人だけではなくヴェイダーシリーズのアイテムも一緒です。特に、降下軌道、グライダー、エモートがすばらしい出来でした。これがバトルパス限定とは惜しいことです。

 降下軌道では、キャラに3機のTIEファイターが同行します。TIEシリーズ特有の飛行音が聴こえないことだけ少し残念ですが、TIE編隊を率いて飛ぶのはヴェイダー卿らしいですね。グライダーは、TIEアドバンストX1かと思いきやラムダ級T-4aシャトルです。これはSWに登場するビークルの中でも私が特に好きな機種で、これを出してくれたのはとてもありがたいことです。アドバンストを別で出してくれてもいいんですよ。エモートは、言ってしまえばただ歩くだけです。しかし、歩いている間帝国のマーチ*9が流れます。一般的にはダース・ヴェイダーのテーマとして知られているあれですね。早くヴェイダー卿で試してみたいものです。

 さらに、バトルパスとは別枠で(報酬の入手にはバトルパスが必要ですが)クエストというものがあり、これをクリアするとインディ・ジョーンズシリーズのアイテムが入手できるようです。センスがいいですね。じつはレジェンズもSW(正確にはゲーム『フォールン・オーダー』)とコラボしていたらしいのですが、入手できたのはパスファインダーのスキンだけらしいです。そういえばチャームでもいくつかありましたが、これはEAPlayの報酬でした。再入手するチャンスが欲しいものです。

 前回の北海道でヒットマン無印のステージは終わり、今回紹介するニュージーランドのホークスベイからはヒットマン2のステージです。以前も書いたICA訓練施設がこのゲームのチュートリアルであることは間違いありませんが、ホークスベイのミッション「ナイトコール」もチュートリアル要素が強めです。

 暗いビーチにぽつんと建つターゲットの自宅が舞台なので、マップは狭めです。また、最初の目標はターゲットであるアルマ・レイナードに関する情報を手に入れることですが、情報を手に入れるまでアルマは外出しており、家には誰もいません。家の中にあるPCを覗くことでアルマ一行が帰宅するカットシーンが入り、そこでやっと暗殺が始まります。暗殺のチャンスも多く、より実践的なチュートリアルと言えるでしょう。一方でステージが個人宅であることから変装の要素は薄く、ボディガードの服しかありません。

 家の中にはアルマとボディガードの他に、もうひとりNPCがいます。しかもその人物は名前を持っており、オーソン・ミルズといいます。どうやらアルマの愛人らしいのですが、悲しいことにボディガードからは住人ではなくお客様扱いされているようです。なお、オーソンはターゲットでも何でもないのに、オーソンを殺すチャレンジがいくつかあります。かわいそうなキャラです。

 これがレイナード邸のリビングです。ひどく大きなテレビだと思いましたが、どうやらプロジェクターで壁に映像を投影しているようです。どうせならきちんと画面全体が映るように調節すればよかったのに、これでは画面の一部が映りません。普段使う分には不便そうですけど、これはこれでちょっとかっこいいかもしれません。

 オーソンにはないものの(それを言うならボディガードにもないものの)アルマには専用の寝室があり、帰宅後のアルマはここにいます。枕がふたつあるということはオーソンがここに寝てもいいのかもしれません。暗く荒れた空の下に建つ寒々しいこの家の中で、唯一暖かみが感じられる部屋ですね。ドアの向こうにはバスルームもありますが、ここは邸内の他の場所と同じく暗くて殺風景です。風呂くらい落ち着いてリラックスできた方がいいと思います。

 なお、部屋には音が鳴るおもちゃが置かれていました。ゲーム的には陽動として使えるアイテムですが、他のステージにはあまりでてきません。キウイ(鳥)の形なのでしょう。アルマにも結構かわいい趣味があるのかもしれませんね。彼女の最期に見るものはこのキウイにしてあげようと思います。

 さて、最後に屋敷の中で個人的に好きな場所の写真を紹介しましょう。2Fには外に出られるところがあって、イスや調理設備が配置されています。晴れた日にはここでバーベキューもできたのかもしれません。その場合は料理に毒が入るだけだったのでしょうけど⋯⋯。この場所の先にはなぜか小石と踏み石が日本庭園のように配置されています。洋ゲーにたまにありますが、和と近未来やシンプルとの組み合わせってかっこいいですね。

*1:閉鎖空間でのデスゲームみたいな共同生活開始

*2:ロシア語のクラスにいた女は「フォロー絞ってるから」という口実でLINEの交換を拒否しました

*3:事前に決められた品が出てくるコースという意味です

*4:顔をはじめとした生体パーツという意味です

*5:配置時限だけ違います

*6:優勝できずとも、パスを進めたり他人に頼れるモードをプレイしたりと手に入れるチャンスはあります

*7:レジェンズでは「復刻するとは限らないよ」くらいだったと思います

*8:一定期間ではなくずっと、というのもどこかにあるのかもしれませんが

*9:じつは作中世界にも存在していることが判明しており、『ローグ・ワン』では帝国の兵員募集で流されていました

[2022] 生存報告番外: 506番房記録 7日目

 なぜか明け方に目が覚めた。時刻は驚くべきことに5時台だ。早く寝たわけでもないのに、どうしてこの体は自殺行為をしたがるのか理解に苦しむ。窓の外からはここに来て初めての暴言だかが聞こえてきたような気もしたが、確認するのも怠くて寝た。

 今日もまだ3部制が続行されている。ニュースは連日のように感染再拡大を伝えており、そう簡単に囚人数が減ることはないのだろう。何かの間違いで、これ以降に宿泊療養へ行く者がこの記事を読むこともあるかもしれない。こんなものより公式の指南を読んだ方がいい。

 エレベーターは今回も混んでおり、ひとつ前に並んでいたのはいかにも陰気そうな女だった。そして私がなんとか乗れそうなエレベーターが来た時には、今度は女自身が閉ボタンを押していた。自分が詰めようなどとは夢にも思わなかったに違いない。いずれにせよまもなく出所だと自分に言い聞かせる。

 朝食は、ハムとレタスのサンドイッチ、肉っぽいもの、小型ハンバーグ、マカロニのサラダ、カップケーキだった。サンドイッチはラップに包まれていたが、これは何日か前の関西っぽいマフィンの日と同じだ。電子レンジにそのまま放り込み、とても熱いラップを剥がしながらサンドイッチを食べるはめになったのである。

 早々に食べ終え、荷物を片付ける。今回はインスタントのスポーツドリンクや野菜スープ、菓子類を持ってきていたので、それらを消費して帰りはスーツケースの中に余裕がある想定だったが、結局ほとんど手をつけなかったので荷物の総量はあまり変わらなかった。目に入るものすべてをとりあえず放り込み、無理にジッパーを閉める。

 少し時間が余ったので、風呂に入った。片付けの間に湯を張っておけばよかったのに忘れていて、さらに入浴に割ける時間が減った。束の間の休息を楽しんだ後、使い捨てバスタオルをバスルームではなくベッドの上に置いてきたことに気付いた。

 最小歩数でタオルを回収し体を拭いていると、電話が鳴った。時刻は9時前だが、7時のタスクを6:45からせっつく連中だ。退所許可だと思って電話に出ると、今朝の入力の不備を指摘された。訂正すると、電話は切れた。それだけだった。

 いつ退所許可が出されてもいいように待機していたが、結局電話が来たのは9:30頃だった。最後にまた部屋を点検し、ついでに窓から写真を撮り、すべての荷物とゴミを持って1Fへ降りた。

 レインコートのような防護装備とフェイスシールドのスタッフが、配給所の補充にあたっていた。最後に窓口を観察していると、エアロックのようにクッションとなる部屋の存在が確認でき、また窓口の後ろは物資が大量に保管されていると判明した。

 パルスオキシメーターとボールペン、ルームキーを返却し、外にいるスタッフに名前を告げればもう退所の手続きは完了だ。行きはお迎えが来たが、帰りは現地解散であり、もうここで放り出される。スーツケースを転がし、家路に着いた。セミが鳴いているところからすると、知らぬ間に世界は夏になっていたらしい。

 昼過ぎにはまた出かけた。期末試験の時間だ。持ち込み可の試験だったので、授業資料を抜粋してプリントアウトした。細かいところは教科書を見ればいいだろう。

 到着して、最後の見直しにかかる。プリントアウトしたものを読み込み、さらにノートも見返した。休んだ回に発表された演習問題の答えも友人に聞いておく。

 ついでに試験中に検索しやすいよう教科書の該当部分も確認したところ、なぜか話が噛み合わない。嫌な予感がしてタイトルを確認すると、同じシリーズの違う教科書を持ってきていたことが判明した。

 試験はそのまま始まり、終わった。持ち込み可の試験なのに教科書を持ち込まないというのは、縛りプレイでもない限りやるべきではないという知見が得られた。どうにか落単は免れていることを信じる。

 そういえば、ホテル療養の間にサマーインターンを申し込もうとしていたが、ひとつたりとも応募しなかった。まずはアカウントを作るところから、いや就活用のメールアドレスを取得するところから始めなくてはならない。何かをやろうとして前提タスクが必要だと判明すると急にどうでもよくなるので、ここで止まっていたのだ。

 アカウント作成とログインに成功したものの、数が多すぎる。選択肢が多いと選べなくなるタイプなのが災いした。サマーインターンはよくわからないが重要らしいくらいの認識でいるので、その機会を使ってもいいインターンなのかどうか悩む。そうしているうちに考えるのが面倒になってやめてしまうのがいつもの流れだ。

 すると、どこかよさげなインターンを見つけた。申し込み期限は4日後で、まだ間に合いそうだ。さっそくエントリーしてみると、事前のオンライン説明会参加が必要だとわかった。そちらの日程はいくつかあるが、幸いにも最終は明日だ。

 ところが、説明会に申し込めない。定員とも表示されず、申し込みボタンがないのだ。ページを漁ると、申し込みは前日の正午までであると書いてあった。エントリーだけできる期間を作って何の得があるのか?

 いろいろ嫌になってやめた。ひとつうまくいかないとそのことばかり考えて他のことが手につかなくなるのもいつもの流れだ。無能な完璧主義者はこれだから困る。記事を書く気も失せてしまった。

 早くも506番房に戻りたい。あそこにいる間は、何も考える必要がなかった。もちろん、インターンをはじめ考えるべきことはいくらでもあったが、課題や試験、アルバイトのことは考えなくてもよかった。

 『刑務所のリタ・ヘイワース』では、あまりに長い間刑務所にいて所内での生き方しか知らない囚人が、すっかり老いてから釈放され、外の世界に馴染めず首を吊るというシーンがあった。たった1週間離れていただけなのに、外の世界の暮らしを考えるだけで嫌になる。それほど何も考えなくていい暮らしというものはすばらしいものだった。