ウルリヒトゥレタス

皐月川納涼床

タイツ濾しコーヒーの世界

 みなさんこんにちは。今回は、タイツ濾しコーヒーについて学んでいきましょう。

 

 

 

 

 

1. コーヒーの成り立ち

 タイツ濾し飲料を語る際、やはりコーヒーは外せません。コーヒーとは、コーヒーノキの種子を焙煎して砕き、さらにその粉末から湯や水で成分を抽出することで作られる飲み物です。よく見るインスタントコーヒーは、この液体を粉末化したものですね。

 なぜ人類がコーヒーノキの有用性に気付いたのか、これには諸説あります。ひょっとするとみなさんはカルディ少年とヤギの伝説をご存知かもしれません。実はこれ以外にも、世界には聖職者オマールや律法学者ゲマレディンがコーヒーの発見者として提唱されています。いずれにせよ、彼らはコーヒーノキの赤い種子に奇妙な効能があることを発見したのです。

 以後、人類はコーヒーの文化を発達させていきました。13世紀頃には種子を粉にするようになり、さらに1510年頃には世界最古のコーヒー店がカイロに出店されました。1652年になると、パスカ・ロゼがロンドンに最初のコーヒーハウスをオープンさせています。店主のロゼは貿易商ダニエル・エドワーズがトルコから連れてきた人物でしたが、彼の淹れるコーヒーが評判となったため、オープンに至ったのです。

 なお、この時代のコーヒーはターキッシュ・コーヒーという方法で飲まれていました。これは上澄みだけを飲むという飲み方で、現在でも中近東などで親しまれています。ですが次第に、液体に混じる豆の滓を除去する手法が求められました。そうして発明されたのが、豆の粉末を麻袋に入れる方法です。ドリップの際にフィルターを使おうという考えに至ったのですね。これなら、液体や成分だけを抽出することができます。

 フィルターも次第に発展していきました。袋を短くしていく試みの末、1908年にはドイツのメリタ・ベンツが紙製のフィルターを発明しました。手軽な濾過の手段が確率されたということですね。世界各国で機械化や新技術の開発は進み、現在では全自動でコーヒーを淹れてくれる機械もあります。豆そのものを食べたり上澄み液だけを飲んでいた時代からすると、ずいぶん様変わりしましたね。

 

 

 

2. タイツの成り立ち

 コーヒーと同じように、タイツもまた奥深い歴史を持っています。なお、タイツ濾し飲料には同じタイツ類に属するストッキングもよく用いられますが、材質や厚みによって区別されます。本稿では、広義としてのタイツ(狭義としてのタイツとストッキングを含みます)を扱うものとします。

 中世ヨーロッパに存在した初期のタイツは、現在のそれとはかなり異なっていました。かつてはショースもしくはホーズと呼ばれており、これが今日のタイツの元祖であるとされています。このショースは主に男性用で、階級や用途に応じて様々な形状や素材のものが存在しました。時代の移り変わりに応じてショースも変化していきましたが、16世紀にはバ・ド・ショースとオー・ド・ショースに分離しました。前者がのちのストッキング、後者がのちのキュロットとされます。

 やがて、19世紀のフランスで舞台衣裳のストッキングが発明され、1937年にはウォーレス・カロザースによるナイロン製ストッキング、続く1963年にはパンティストッキングが発明されました。その後、世界にこうしたストッキングは伝播し、我が国にも輸入されました。海を越えてやってきた当時は稀少で高価な品でしたが、耐久性や量産性が大幅に改善され、ブームを起こすまでに至ったのです。そして現在では、こうして一般的な衣類として親しまれています。

 

 

 

3. コーヒーとタイツの出会い

 では、どうしてコーヒーとタイツは出会ったのでしょうか?なぜタイツをコーヒーのフィルターにしようと考えた者が現れたのでしょうか?

 残念ながら、この問いへの正確な答えは今なお明らかになっていません。文化として存在していたことはわかっている一方、詳しい起源となると情報が圧倒的に不足しており、学者たちも特定には至らずにいるのです。残されている文献が不自然に少ないため、愛飲者たちが意図的に情報を残していないのではないかと指摘する学者もいます。

 現在、学会でもっとも有力視されているのは、カニバリズムの変化した姿なのではないかとする説です。大航海時代、ヨーロッパ人は食人族たちと遭遇しました。この報告は悍ましいものとしてヨーロッパ社会に迎えられましたが、この「よいものを取り込んで自分の一部とする」という考え方は一部のヨーロッパ人に刺さり、この欲求が時を経て文明社会で姿を変えたのがタイツ濾し飲料であったというのです。

 いくら女性を求めたところで、文明社会で人を食する訳にはいきません。そこで考案されたのが、衣類を介して女性を摂取する方法でした。この発想は非常に多くの分岐を生み、簡易的な手段である同じものを身に付けるというアンサーを導き出した者たちによって、女装したりパンツを被ったりする文化が生み出されました。

 一方、麻袋の代替品を探す中でタイツが試みのひとつとして用いられた時期があり、効率の見地からは失敗に終わったものの、着用済みのタイツを用いることで別の価値を持たせることができるのではと模索が始まりました。これがコーヒーとタイツの出会いとされています。

 当時はあくまで貴族や物好きが嗜むのみに過ぎませんでしたが、技術の進歩によってストッキングが手に入りやすくなったことで、再度タイツ濾し飲料の文化は世に広まりました。現在では、より淹れやすいものが簡単に手に入りますから、ここに人類の進歩を感じますね。

 

 

 

4. タイツ濾しコーヒーの淹れ方

 ここからはタイツ濾しコーヒーについてさらに詳しく見ていきましょう。

 ご存知の通り、タイツをコーヒーを淹れる際のフィルターとして用います。ですから、豆はもちろん使用するタイツが味に深く関係してくることはおわかり頂けると思います。では、どのようなタイツを使えばいいのでしょうか?

 上述したように、同じタイツでも厚さや材質が異なっています。ですが、初心者から熟練者までストッキングが幅広い層に根強い人気を誇っています。狭義のタイツはストッキングより厚いため抽出に時間を要しますし、不透明ゆえに難易度は高めだとされていますから、まずはストッキングを使って慣れていくといいでしょう。

 次に重要なのは、タイツをどのように用いるかです。もっともオーソドックスなのはタイツ全体をまんべんなく用いる手法です。これは難易度も低く、タイツの形がそのままフィルターとしての機能に直結しているため、手間もかかりません。1本のタイツを余すことなく堪能できることから、入門にも適していると言えます。

 あえてタイツの一部分のみを使用する手法も存在します。こちらは比較的新しい手法であり、器具による補助を必要とする点、タイツをタイツとしてではなく単なるフィルターの代用品として扱う点から、最初は異端視されていました。しかし、その奥深さが知られるにつれて評価は変わり、現在では広く受け入れられています。

 こちらの手法の最大の特徴は、コーヒーの味に指向性を持たせられるという点に尽きます。一般的なフィルターではなくタイツを使って濾すことで味により深みが出ることはご存じの通りです。ですが、部位を限定して使うことにより、さらに酸味や苦味、コクといった味の要素の中から特定のものだけを選んで伸ばすことができるということが最近になって判明しました。

 一般的に、爪先を使えば酸味が、踵を使えば苦味が、ふくらはぎを使えばコクが、ふとももを使えばまろやかさが向上します。より稀少な部位だと、ランガードやクロッチが知られていますね。手間はかかりますが、二度濾しによりさらに味の可能性は広がります。作り手の好みや技量によって自由に表現できることが、人気の理由といえるでしょう。

 余談ですが、ジュースを作る際にもタイツはよく使われます。大きいフルーツならタイツ全体を、小さいフルーツなら部位を限定して使うと便利です。そのまま両の手で絞れるというのはタイツ独自の強みですね。

 

 

 

5. おすすめのタイツ濾しコーヒー専門店

 最後に、いくつかおすすめのタイツ濾しコーヒー専門店を紹介します。

 1軒目は、東京は銀座に店を構える「足袋人」。創業75年を誇る老舗で、地下に潜ると重厚感溢れる落ち着いた雰囲気の内装が広がっています。店主の中澤さんが代々受け継いだ技術によるタイツ濾しコーヒーは絶品で、政財界や芸能界の大物もこよなく愛するといいます。初代店主はアメリカ人に弟子入りして腕を磨き、戦後間もない日本を元気付けたい一心で店を開いたそうです。

 2軒目は、表参道にオープンした世界を席巻する大人気コーヒーハウス「WIDOW MAKER」の旗艦店です。タイツ濾しコーヒー界を牽引する超大物が、満を辞して日本へ初上陸しました。世界各地で大人気なおなじみのメニューに加え、日本限定メニューも続々開発されており、月ごとに変わる限定フレーバーを求めて連日長蛇の列ができています。

 3軒目は新進気鋭の「俺のストッキング」。若者をターゲットとして開店した新しいタイツ濾しコーヒーハウスで、着用者本人が着用したままアイスコーヒーを淹れてくれるパフォーマンスや見た目が華やかなメニューなど、現代らしくSNS映えを意識した方向性が大きな特徴です。もちろん味も妥協しておらず、店を構える原宿の若者を中心に人気を伸ばしています。コラボカフェとしての展開にも意欲的で、今後が楽しみなタイツ濾しコーヒーハウスといえるでしょう。

 

 

 

6. まとめ

 いかがでしたか?タイツ濾しコーヒーのおおまかな歴史しか語ることはできませんでしたが、この奥深さを少しでも感じて頂けたのなら幸いです。もし興味があれば、ぜひお近くの専門店へ足を運んでみてくださいね。ご家庭でチャレンジしてみるのもおすすめです。

 最後までお読み頂き、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※本稿は不正確な歴史認識に基づいており、だいたいフィクションです。