ウルリヒトゥレタス

皐月川納涼床

生存報告: 2023-3

 物事は悪い方にばかり転がっていくものです。

 

 

 

<学校>

 追いコンというものをご存知でしょうか。追い出しコンパという意味(たぶん)で、卒業や引退していく者たちを送り出す会ですね。要は、最後に楽しもうねということです。

 委員会の我々のひとつ上の代を追い出すべく、この追いコンが開かれました。企画はなぜか私です。同期の中ではもっとも彼らと縁の薄いひとりだと思うのですが。レンタルスペースを借りて、ホームパーティー的なものを開催することにしました。立食パーティーと迷ったのですが、楽しく騒げるのはこちらでしょう。

 開催された会はとても楽しく、やっぱりもっと早く委員会に入っておけばよかったという後悔がより一層深まりました。幸いにも大きな不手際をすることなく会は終了したのですが、私が持って行った私物のボードゲームが備え付けのものと勘違いされて部屋に残されていたことが後になって判明しました。駅からは少し離れたところにあるので、回収は少し手間でしたね。

 彼らはこれから社会人とか院生とか4年生(再履修)とかになって、新しい世界に踏み出したり踏み出さなかったりします。また彼らと遊びたいなと呑気に思う一方、もう1年後には彼らと同じ立場に自分がいるのかと思うと恐れが先に来ます。でも、後輩たちから盛大に追い出されるくらい大切に思われていたのなら、それはなによりも素晴らしいことです。

 

 さて、委員会では夏合宿が恒例でした。しかし、ここ数年は計画はしても中止が相次いでおり、局単体での合宿がこの3月にとうとう開催に至ったのです。長いことでしたが、最後に1回だけでも参加できてよかった⋯⋯いえ、もっと早くできていたはずですね。大学への憎悪は未だ消えません。

 ところで、集合地点兼バスの呼び出し地点はキャンパスでした。全員がまあ集まれる距離にあることが確約されていますから、そこに設定したのは合理的です。でも、私の家からはとても遠いんですよね。現地集合⋯⋯は少し寂しいですから、数か所の回収地点を設定して、それぞれが最寄りのポイントから乗れるようになればいいですね。遠距離バスとかそんな感じじゃありませんでしたっけ。

 宿に近づいたところで、ちょうどWBCの決勝戦が佳境でした。ひとりの端末をみんなで囲んで観戦し、宿に着けばひと部屋に男どもが全員集まってテレビを囲みました。昭和のオリンピックもこんな感じだったのかもしれないと思いました。優勝の瞬間、みんなで喜び合ったのは実によかったですね。

 宿には体育館も付いていて、そこでスポーツ大会をしました。昔は登る機会がほぼなかった体育館の2F*1にも貸し切りなので登り放題です。

 この歳になると、こういった機会でもなければ体育館に入ることもスポーツをすることもありません。ドッジボールなどとても久しぶりのことで、ボールがふたつ投入されている時に最前線で片方を持ったまま相手方と睨み合っていたら、投げたタイミングが同じになった上に双方のボールがぶつかって終わりました。

 

 翌日は富士急ハイランドに行きました。実はこの歳まで行ったことがなく、舞浜など比べ物にならないレベルのジェットコースターとお化け屋敷があるという認識です。強いジェットコースターとなるとユニバのものが限界ですから、とても不安でした。

 ところが、当日はかなりの雨でした。当然、ジェットコースターが動くはずもなく、ほぼすべて休止状態です。これが乗る機会と覚悟していたので逆にちょっと残念な気分です。

 しかし、嬉しいこともありました。就活で参加できなかったはずのスネークが合流したのです。聞けば、ここだけ参加するとのことでした。途中から参加なら私も以前やりましたが、途中だけ参加とは驚きましたね。

 この天気でも営業しているのは、やはり屋内型のアトラクションです。ちょうどエヴァとコラボしているというアトラクションがあり、数名とそれに乗ることにしました。

 乗ってみて初めて判明したのですが、この富士飛行社というアトラクションは、いわばジェネリック・ソアリンです。座席が宙に吊られると、スクリーンに包み込まれているような状態になるということですね。

 ソアリンがのんびり遊覧飛行といった感じだったのに対し、こちらは使徒襲来中の第3新東京市を飛び回るので、動きにもより激しさがあります。落ちてくる瓦礫や使徒の攻撃を避け、エヴァの周りを旋回します。完成度はかなりのものでした。

 そうそう、発進シークエンスもきちんと作り込まれていました。エヴァが好きな人はもちろんですが、エヴァは知らないけどシークエンスは普通に好物というオタクが乗っても楽しめるのではないでしょうか。

 ここでの同行者たちは温泉に行くことにしましたが、わたしは戦慄迷宮組と合流して他のアトラクションにも乗ることにしました。結局、戦慄迷宮には乗らなかったのですが、これってどれくらい怖いんでしょうね。他の人にもわかるくらいビクッてしてそうです。

 とはいえそもそも営業中のアトラクションが少ない上にあまり時間がない*2ものですから、乗ったのはコーヒーカップでした。

 宙ぶらりんに時間が余り、ゲートのあたりで自由時間にしました。動かないジェットコースターや土産物屋、もしくは屋根の下のベンチで時間を潰すフェイズです。

 私は土産物屋を見ていたのですが、一角に人間ひとつ分の大きさをしたドアのない開口部があって、そこから外が見えていました。そこにスネークがいたのです。

 スネークは片方に背中を預けて空を見上げていました。枠で切り取られたその姿はまるで絵画のように美しく、曇天を見上げる姿のなんと綺麗なことかと思いました。

 翌日、最終日は山に登りました。登ったといってもケーブルカーですが。河口湖かもしれない湖に面しており、遠くには昨日いた富士急ハイランドも見えます。この日はいい天気でしたから、昨日は乗れなかったジェットコースター類も元気に動いているようです。

 ケーブルカーの駅があるのは山頂ではなく、そこからほどほどに道の体をなしている山道を10分くらい登ったところに山頂はあります。山頂には木がいっぱい生えているので見通しは悪く、ケーブルカーのあたりの方がいい景色を見ることができましたね。

 この山、どうやらかちかち山のモデルになっているらしく、そこかしこに兎と狸のモチーフがあります。たぬきの復讐みたいな名前で兎肉料理があってもよかったと思います。狸鍋も麓ならゆっくり食べられそうですし、出店して欲しいものです。

 

 さて、こうして局旅行は幕を閉じました。いつもの同期旅行はどうしても友人同士でのプライベートな旅行という印象が否めませんから、これがはじめての大人数かつ公的な(厳密な公式行事ではありませんが)旅行となった訳ですね。その感慨もあって、とても素敵な思い出になりました。

 曇天を見上げるスネークや山の上からの景色、おいしい宿の食事など楽しい記憶はたくさんありますが、正直に申しますと、やはり一番は宴会です。

 宿の地下には宴会場があり、我々はそこを貸し切っていました。宴は両夜とも行われ、かなり遅くまで興じていました。

 同期とならまだしも、後輩と酒を飲める機会はそうありません。ましてや、今回は店ではない上に他の客もいませんから、とてもすばらしく貴重な経験でした。

 特に、後輩のひとりが印象的でした。買い出し班がセレクトした酒の中にはウィスキーの中瓶があり、それを私と後輩とのふたりで空けたのです。

 そのあとは他の酒を飲んでいたのですが、宴の途中で追加の買い出しに行ってくれる者がいました。そこで後輩と相談して「ウィスキーの小瓶ならいけるだろう」という結論になったのでそれを注文しました。

 ところが、その買い出しに行ってくれた者は酒のことをあまり知らず、同じ中瓶を買ってきたのでした。ひとしきり笑ったあと、またその後輩と共に飲み始めます。

 残念なことに、そこからの記憶はあやふやです。いつのまにか私は寝てしまったらしく、4時くらいの解散時になってやっと覚醒しました。後輩の方はまだ生きていたそうですから、私ほすっかり恥を晒すことになったのでした。今度、また一緒に飲みたいものです。吐いたり口を滑らせたりもせずにただ寝るのは本当につまらないことですから、それは回避できるようになりたいですね。

 

 

 

<アルバイト>

 すっかり書き忘れていましたが、じつは12月に新人がひとり入っていました。今回も若くはなく、アルマンくらいの歳かと思われます。

 ところが、入って間もないのに1月頭をソロで任されることになり、すでにダーウェントに不信感を募らせているのでした。ダーウェントは、新人が業務への不安を訴えているのに「それくらい覚えられるでしょ」で済ませるのをやめた方がいいと思います。

 この新人も今ではすっかりここで働くことに慣れています。今、「この店で働くことに慣れる」というのは、「新入社員に苛ついて私へ愚痴を聞かせるようになる」という意味です。

 そんな訳で、出勤の度に私へ新入社員の愚痴をぶつけてくるのはもはやアルマンだけではないのでした。一方、私はここに書くくらいしかできません。もっと若者が欲しいものです。

*1:狭い通路が壁に沿って並んでいて、ライトや窓やカーテンを操作するところ

*2:迎えのバスは夕方くらいに手配されていました