ウルリヒトゥレタス

皐月川納涼床

生存報告: 2023-2

 がまずみは私なのかもしれませんね。

 

 

<学校>

 幸か不幸か、今年は2月まで課題が持ち越される授業はありませんでした。後はただ、成績発表までたくさんの不安点に怯えるばかりです。落単は避けられそうにありません。いくつなのかが問題です。

 ある授業では、本の情報をカード化する技能が扱われていました。出版社や形態などの必要な情報を得て、適切にまとめる能力が問われます。もうデジタル化の進んだ現在では不要といえば不要な技術ですが、それでも資格の取得過程には残っているのですね。一種の歴史のようなものと思えばいいのかもしれません。

 その授業は試験で成績がつくことになっていました。もちろん試験内容はカード化です。教科書やノートの持ち込みが可能だったのですが、肝心の教科書をじつはまだ買っていませんでした。

 大学では、教科書の予約購入が学期のはじまりにあります。それを面倒がったことで教科書なしで授業が始まり、他人に借りたり読まずに切り抜けたりで生き延びるうちに、教科書なしで期末試験まで来てしまったのです。こういうことははじめてではないのですが、テストの時にはやはり困ります。持ち込み可能ということは持ち込むことを前提として問題が作られていますからね。そこに徒手空拳で挑むのは自殺行為です。

 知り合いの女もそうでしたが、彼女は大学の図書館で借り続けることにより解決していました。期限が来ても延長したり借り直したりすればいいだけですし、まず他の利用者が予約することはありません。賢いものです。

 所属キャンパスの所蔵本はこの女が借りていますし、本国キャンパスで借りようとしたら延滞ペナルティ*1があることを思い出しました。結局、本国でコピーして試験に臨みます。

 試験問題は、本の情報だけ渡されて、それを適切な形式にまとめるというものでした。きちんとその規則が書いてある部分をコピーしてきたので、ひどくつっかえることはなく解けています。ところが、問題用紙に答えを書いておいて*2あとでまとめて解答用紙に書き写そうとしていたら、途中で試験時間が終わってしまいました。当然、解答用紙はまったくの白紙です。

 大学って、場所にもよるのでしょうけど教室に時計がないんですよね。あえて置いていないのか、どうせみんな各自で確認できるだろと重要視されていないのかはわかりませんが、いつもの授業ならまだしもこういった試験の時(そういえば入試もそうですね)は腕時計が必要になってきます。実は腕時計を付ける習慣がないので、こういう時は忘れて勘で戦いがちです。

 答案を回収に来た先生も、名前や学籍番号だけ書いて白紙の惨状を前に言葉を失っていました。「書き写すの忘れちゃって」と自己申告すると、少し納得したように去っていきました。正直、重めの授業だったので、これを再履修になったら嫌だなぁと憂鬱です。来年にこれを取り直すということは、卒業間際の後期に受講するということですからね。

 恒例の試験監督アシスタントのアルバイトは、なぜか5日間当選していました。どういう仕組みになっているのかはやはりわからないままです。もう説明会に出る必要がないくらいの熟練度はある私にとって、もはや気になるのはたったふたつだけ。同僚と「彼」です。

 結論から記すと、今年も同僚には恵まれませんでした。すぐ帰る女ばかりです。昼食に至っては、どの日もひとりで食べました。来年もこうでしょう。

 最終日の女だけはまだ話が通じるようでしたが、今年の試験監督本体は比較的恵まれていたのに最終日だけ恵まれませんでした。バランスを取ったつもりでしょうか。配属教室は中型で、ペアがふたつ配備されています。

 ヒトを見た目で判断するべきでないというのはわからなくもありませんが、ぱっと見の振る舞いでフォースが「こいつはどこか妙だぞ」と密かな危険を知らせてくることはたまにあります。この試験監督もそうでした。はっきり形容できないのがもどかしいところです。

 我々学生が座る椅子は前方にふたつと後方に4つありました。もうひとつのペアも我々も揃って後ろに座っていましたが、予鈴の直前になって「片方は前に来て」と言われました。まだ深く知らないとはいえ女にそれを任せるのも気が引けて、私が前に座りました。

 前に学生を座らせるのは、誰のためにもならない悪しき風習です。学生はうつらうつらすることもできませんし、受験生にとっても前方すぐのところからずっと見つめられていては落ち着かないはずです。公正な試験のためにも、廃止すべきであることは明らかでしょう。

 もっと許せないのは、前に座ったのが私だけだったということです。いかにもそういうルールだからみたいに言われたものだから従いましたが、ただの自己満足だということがはっきりしました。やっぱりこのアルバイトは同僚と上司のガチャです。現実社会と同じなのかもしれません。嫌ですね。

 ある日は、椅子が前にあったので我々が前に座っていたところ、試験監督から「もし寝たら問題だから見られないよう後ろに行っておいて」と言われ、堂々と後方に移ることができました。この配慮は功を奏し(寝ました)、試験監督本体の采配力や経験値に敬意を表しました。これを見習って貰いたいものです。

 なお、この日の同僚は名前がカタカナでした。碇シンジみたいなのではなく、外国名の中にぽつんと日本語の名が混じっているような感じです。私の知り合いにはそういうタイプがひとりもいなかったので、割り当て表で見てから少し警戒していたのですが、いざ顔合わせしてみればとても流暢な日本語です。とても長い睫毛が印象的で感じのいい女でした。

 さて、もうひとつの問題である「彼」のことを読者諸兄は覚えておられるでしょうか。もう2年も前のことですが、はじめてこのアルバイトに参加した私には友人が誰もいませんでした。そこで同じ教室に配属されていた3人に声を掛けたのです。そのひとりが「彼」でした。せっかくできた友人ではあったものの、女の先輩が「バレンタインの買い物に行くから」と解散しようとしているのについて行こうとするという奇行を披露しており、それきりの関係でした。キャンパスも同じだったのですが、会うことはなかったのです。

 しかし、去年のあるシフトにおける説明会の最中、LINEで連絡をよこしました。面倒だなと思って私は無視していたのですが、その日の相棒と話しつつ配属先に向かっていると「彼」は突然私の行く手に立ち塞がり、「俺のこと覚えてる?」と聞いてきたのです。当時の相棒はちゃんとにこやかに話してくれる女の後輩だったんですよ。人が話しているところにずかずかと踏み込んでくる「彼」のせいで、彼女は引っ込んでしまいました。どうしてくれるんですか。

 その日の試験は午前だけだったので、午後は待機という名目の自由時間です。その間も、「彼」はずっと私に話しかけ続けました。せっかく横の席までは来てくれた*3相棒も、気を使っているのか引いているのか話しかけてはくれません。

 会話の内容も、「俺はいつも相手が先輩や先生だろうとはっきりものを言う。でも俺はいつも正しいから誰も言い返せない」というようなことを誇らしげに語り、隣で絵を描いたり勉強したりしている相棒を見て「何してるのか聞いてみてよ」と私に言うのです。たぶん相棒にも聞こえてる声量で。これを聞いたある者は「イキり大学生」と表現しました。その通りだと思います。

 退勤の時間になると、「彼」は私の相棒に馴れ馴れしく挨拶をして帰っていきました。私は彼女に謝ることしかできませんでした。彼女となかよくなれていたらどんなによかっただろうと今でも思います。無礼だろうと詮索することはしなかったのでジャンルは不明ですが、絵を描くというのは貴重な特質です。

 その後、委員会の先輩を見かけて私が挨拶していたのに、「彼」はメンヘラのごとく私を引っ張って行ってしまったということがありました。これを最近読んだ漫画になぞらえ、以降は「がまずみ」と呼称します。花言葉は「私を見て」だそうです。

 そんなことがあったので、今年も私はがまずみからの連絡が来るのではないかと恐れていました。そっと初日の割り当て表を見ると、悲しいことにがまずみの名前があります。悔しいことにもう覚えてしまったのです。なぜかその日に連絡は来ませんでしたが、無事にキャンパスを去るまでずっと周囲を警戒していました。

 結局連絡はなく、翌朝の私は安心して出勤しました。ところがあともう少しでキャンパスに着くというところで突然肩を叩かれ、嫌な予感と共に振り向くと⋯⋯なんということでしょう。そこにはがまずみがいました。恐れていたことがついに起こってしまったのです。

 会話の調子を適当に合わせていると、その場は逃げきれました。配属された号館が別だったのです。これで今日含め残りのシフトすべてがまずみにつきまとわれるのかなと憂鬱になっていたのですが、がまずみと会ったのはこれが最初で最後となりました。彼にどのような心変わりがあったのかは不明です。

 がまずみとの繋がりはLINEだけです。そもそも私は自分の顔をアップすることはありませんし、ふたりで撮った写真もないはずです。前述の通り普段は会うこともありませんから、本当に1年前に会ったきりということになります。そんな相手を背後から特定できるとは、恐ろしい能力だと思います。

 別の日には、委員会の同期と酒を飲みに行きました。同期は同期でも、私やスネークのいる広報局とは違う総務局という部署の長です。これまでほとんど接点はなかったのですが、以前にじつは波長が合うのではという疑いを互いに抱いていました。

 実際にもその通りでした。広報局の者たちはほとんどしない女の話もしました。彼もちょうど振られたばかりだったらしいのですが、その相手は同じ総務局の後輩だったというのです。本祭2日目の終わり、つまりその年の大学祭最終日には執行部というおえらいさんに向けて後輩から花束や言葉を贈るちょっとした儀式が恒例となっています。それは今年もあったのですが、彼に花束を贈った女がその相手でした。

 その儀式はもちろん大勢の前で注目されつつ行われます。そんな中、彼女は感極まったように彼に固く抱きついたというのです。その様子はあらゆるアングルから撮影され、後日局内グループにアップされていたといいます。また、その後も彼女は個人的に今までありがとうのメッセージを送ったそうです。

 彼はそれらの様子を考慮して、彼女には好意があると判断しました。私だってそうします。そして彼から告白したのですが、「先輩としてしか見られない」と一蹴されてしまったというのが事の顛末でした。

 なお、彼と波長が合うような気がしたのはコミケにVの企業ブース目当てで行っていたと聞いたからで、実際にサブカルには詳しかったのですが、私が「NTRBSSも地雷だ」と話したところ、BSSは知らなかったらしく新しい世界を教えることになってしまいました。これがよかったのかどうかは不明です。

 がまずみとは学部が同じらしく、彼もがまずみのことを知っていました。さらに同じITA*4という学内バイトをしていたそうですが、規則的にはグレーゾーンながら多くのバイトがしていたという勤務中の携帯端末の使用に対し、わざわざ先生に密告して同僚を泣かせたことがあったと聞きました。やっぱり同じ人物で間違いなさそうですね。

 さらに、この仕事についても少し詳しくなりました。なんでもオープンキャンパス時のボランティアなどいくつかの団体がスタッフとして働いているそうです。校門での受験票確認や試験終了後の帰宅列管理など、我々とは別のところです。人手不足の日は我々と同じ試験監督補助として働くこともあるものの、合計ですべての日に働けるそうです。入っておけばよかったと思います。

 彼とまともに話したのはこの日が最初でしたが、なんだかわかりあえた気がします。また飲みに行きたいものです。もっと早く知りあえていたらよかったのかもしれませんが、これも局間の交流が希薄なせいです。後輩の世代では、ぜひともここらへんを改善してもらいたいものですね。

 

 

 

<アルバイト>

 試験監督補助を入れたので今月は少なめです。いつ出勤しても新入社員の愚痴を聞かされるのはどうにかならないのでしょうか。

 その新入社員ですが、どうやら辞めることを辞めたようです。理由は不明ですが、転職先が見つからなかったからという憶測がアルバイトの中ではなされていました。一瞬だけ見えた希望の光が無惨にも散っていったことで、アルマンは珍しく傷心気味です。

 

 

 

<Steam>

 定期的に海賊もののゲームがプレイしたくなることってありませんか?ありますね。厳密には海賊ものでなくても帆船が出てくるのならいいのですが、マストのある木造帆船で古き良き戦いをしたくなることがヒトにはあるものです。かつてそんな衝動に襲われて購入し積んでいた『Abandon Ship』をプレイしました。

 まだプレイしたのは基本らしいストーリーモードだけです。邪教から逃げ出した主人公と、クラーケンや狂信者たちを従える悪の教団との戦いが描かれています。ワールドマップは点と線で繋がっており、その点のひとつひとつが正方形のマップです。その正方形の中を航海し、様々なイベントに遭遇したり港に立ち寄ったりしつつ、メイン目標を目指すという流れです。

 ローカライズのクオリティは高めです。難解な感じもしますが、言い回しはかなりいいセンスだと思います。ところどころに怪しいところや誤訳っぽいものが残るのはご愛敬といったところでしょう。全体的に陰鬱とした世界観が表現されています。

 冒険の道中では、メインクエストやサブクエストに加えたくさんのランダムイベントが待ち構えています。それらと遭遇するたびにプレイヤーはどう対処するのかを選択します。よくあるのが困った状況にある船で、海賊に追われている船や食料不足で死にかけている船と出会うのも日常茶飯事です。

 選択の結果も様々です。海賊に追われている船と遭遇したのなら、海賊がこちらへ「そのまま黙っていれば分け前をやろう」と信号を送ってくることがあります。そのまま哀れな犠牲者を見殺しにして金を貰うのもよし、海賊船を沈めて感謝されるのもよし、といったところです。

 そうして突入する戦闘は大忙しです。船上の状況は目まぐるしく切り替わります。クルーそれぞれの適正に応じてその都度指示を与え、装填や修理、消火などのタスクを処理しなければならないのです。一時停止中にも指示はできるのが救いです。

 砲撃の位置は細かく指示できます。それによって船体の各区画にダメージが蓄積され、ひどいダメージを負えばその区画が機能しなくなってしまいます。マスト区画が大破すれば敵船との距離を調整できなくなり、砲列区画が大破すればそこからの砲撃ができなくなるといったように、戦闘に大きな影響をもたらします。刻一刻と変化する戦場で、限られたクルーと時間をどのように割り振るかがこのゲームの醍醐味といったところでしょうか。

 片舷斉射で敵船が木の破片を散らしながら沈んでいくのも、狙撃でひとりひとり敵クルーを始末していくのも楽しいものです。敵船本体にはダメージを与えずにクルーだけ始末して拿捕する方が金は稼げるのですが、たまには体当たりでとどめを刺したり蜘蛛入りの臼砲みたいな個性的な兵装で戦ってみたりもいいものですね。

 ところで、ゲームだとしてもどうにも心が痛むのでこういうゲームでは善人プレイを心掛けているのですが、妹にこのことを話すと「無理しなくていいよ」と言われました。誰も信じてくれないのが悲しいところです。

 

 

 

<PS4>

 フリープレイで手に入れた『マフィア コンプリート・エディション』をプレイしました。ずっとずっと昔に発売されたゲームのリマスター版のようです。

 アメリカの都市ロストヘブンでタクシー運転手として働くトミー・アンジェロは、ある夜ふたりの男に脅されてカーチェイスをすることになります。ロストヘブンには抗争を続けるふたつのギャングファミリーがあり、ふたりはサリエリ・ファミリーの構成員でした。どうにか追手から逃げ切りボスのサリエリから謝礼を貰うトミーでしたが、後日敵対するモレロ・ファミリーにタクシーを破壊されてしまいます。復讐を誓い力を求めるトミーはサリエリ・ファミリーの一員となり、裏社会へ足を踏み入れるのでした。

 トミーの出自もあり、ストーリーでは頻繁に車を運転します。設定でカットすることもできるようですが、目的地までの移動や仲間の送迎、現場からの逃走などほぼすべての移動を自分で運転するのです。交通ルールを破ったり事故を起こしたりすると警察に追われてしまいます。模範的市民となるために車道の左を運転していて気づきましたが、ここはアメリカでした。

 ロストヘブンはかなり広く、昔のゲームとは思えないくらいです。大都市の中から高級住宅街、郊外の田舎道まで様々なところで車を乗り回します。どこかで車を盗んで交差点の真ん中まで運転し、おもむろに停めて立ち去ると渋滞をのんびり眺めていられます。路面電車だって足止めできますよ。

 警察や敵対するギャングとの戦闘もあります。この戦闘が曲者で、かなり難易度は高めです。体力の自動回復などという甘ったれた要素はなく、回復アイテムもごく限られたところにしかありません。殺した敵のものを奪いつつ戦っても弾薬は心許なく、常に厳しい戦いを強いられます。

 また、ストーリー以外にフリーライドというモードがあり、ロストヘブンの中を自由に探索できるのですが、ストーリーで入れた建物はほとんど入れません。フリーライドモード限定のミッションはあるものの、本当にただ運転するだけになります。ストーリー中に訪れた高級住宅街で高級車を失敬しようとしたもののどこの家にも入れず、仕方なく通りがかりの車を奪い取って帰りました。この車も帰り道にぶつけて傷がついてしまったので、近くにあった駐車場の車にぶつけて乗り捨てました。

 ストーリーの評価は高く、禁酒法時代のギャングの物語を楽しめます。元一般人のトミーがポーリーとサム(最初にトミーのタクシーにカーチェイスをさせた張本人です)と共に立派なギャングへと成長するのです。3人でトレンチコートに帽子を被ってトミーガン(トンプソン機関銃やシカゴ・タイプライターとも呼ばれます)を持つと無敵な感じがします。

 そういえば、トレンチコートなら私も持っています。どういう名前なのかはわからないものの、トミーが使っていたような帽子を合わせたら合うのかもしれません。帽子なんてしばらく買ったことはありませんでしたが、ちょっとくらい洒落たものがあっても楽しそうです。

 ゲーム的に仕方のないことではあるのですが、トミーは戦闘や暗殺を何度もこなしているので「そういう役」という印象が付き、無茶な任務にも単身で投入されるようになります。ほぼ使い捨てみたいな無茶な任務でも生きて帰ってきますからね。裏社会で伝説扱いされてそうです。

 こういう誰かの部下として戦う物語、組織内でもトップクラスの戦闘力を得た後ならボスを倒して新たな支配者となることもたやすそうなのにどうしてそうしないんでしょうね。裏社会に足を踏み入れた以上、安らかに死ぬことが難しいというのは明らかでしょうから、トップとなるのがいいと思います。

 あと、ボスが殺された場合ってどうするのがいいんでしょうね。報復すべきか、主を変えるべきか、それとも相手も殺して自分がボスになるべきか。悩みどころです。

*1:延滞したのと同じだけの日数が返した日から経過するまで何も借りられなくなります

*2:ミスすると書き直しが面倒なのです

*3:多くの女はどこかここではないところへ姿を消してしまいます

*4:パソコンルームで学生からのオフィスソフトの質問に答える仕事です