ウルリヒトゥレタス

皐月川納涼床

生存報告: 2023-11

 年の瀬になってしまいました。今年もそろそろおしまいです。1年をやり切ったという満足した気分で大晦日を迎えられることはあるのでしょうか。

 

 今年は始まりからしてひどい年で、嫌になるくらい嫌なことがありましたが、それでも大学生最後の年を私なりに楽しめたのではないかと思います。ふとすると表出する鬱の永続デバフをその時々の多幸感で打ち消してようやく生きているような、スリップダメージを自動回復でカバーしているような有様だとしても、ひとつひとつの幸福は真実ですからね。

 結局のところ、私はヒトに飢えているのでしょう。ヒトの熱に満たされている状態に幸福を感じ、それがない状態や失われることに苦しみを感じます。要は誰かと関わっていたい、構われていたいのですね。

 今年のことを考えても、やっぱりいい記憶は誰かのおかげです。誰かと新しく友達になったとか、より仲良くなれたとか、そういったことに幸せを感じます。縁において質と量のどちらを重視すべきかは難しい問題ですが、願わくば両方とも欲しいものです。

 そういう人々を大事にして生きていようと思います。悪意によって受けた傷は、善意によってしか治せませんからね。

 

 今年の遺恨は今年のうちに祓除しておきたかったところですが、どうやらそうもいかないようです。私に打てる手はすべて打ったつもりでも、最初から無駄だったのかもしれません。「もうとっくにダメです。」としか言えませんね。

 

(↑これを書いていたのは12月です。大学祭のある秋はどうしても書くのに時間がかかりがちですね)

 

 

 

<学校>

f:id:idea427:20240214014230j:image

 大学祭が終わると何が起こるでしょうか?正解はそう、次の大学祭がやってきます。去年は10月末に開催されていましたが、今年はなぜか少し遅くなって11月頭になったのでした。

 なお、この日はたくさんの世間のイベントと被るだけでなく、複数の大学祭とも重なっていました。避けるのが無難だったと思います。また、去年より開催が遅いのに各種申請期限が早まった*1ため、こちらの実行委員会への好感度は低めです。

 私としてはスケールが違う都会キャンパスへの僻みがあることは否定しませんが、嫌っているのは他の人々も同じだったようです。Twitterで検索すると、説明会が遅いだの重要事項が共有されていないだのと不満がいっぱい出てきます。我々の実行委員会ってどう思われているのでしょうか。

 

 自分のところの学園祭に参加する形は、3通りあります。すなわち、①一般参加、②出展参加、③運営参加です。コミケと同じですね。僻地のキャンパスでは③、都会のキャンパスでは②として参加できることの、なんと恵まれていることでしょう。もはや、自由時間が落ち着かないまであります。

 さらに、今年は2つのサークルに参加していました。4年生を受け入れてくれる風潮には深く深く感謝しています。せめて邪魔にならないよう恩返しをしなくてはなりません。

 なお、両サークルとも100名を超える構成員を擁しているはずなのですが、大学祭に参加するのはほんの10から20名程度です。その面々もなんというかいつも通りで、楽しいのにもったいないことだなぁという気もします。

 テント立ての指揮で自尊心を満たし、力仕事で貢献度を稼ぎました。参加者は女子が多めでしたから、パワー型ではありませんがこういうところこそ私の出番です。私がタイタンです。

 都会の大学祭は3日間開催され、2日間開催の僻地とはその時点で差があることにはもう触れましたね。都会はその余裕を活かし、初日の午前を丸ごと準備に充てています。やはり、これは我々にはない大きなアドバンテージです。搬入や設営を終えたらすぐに営業開始できるので、いちいちテントを畳んだり備品をその中に入れたりといった手間がありません。明るい中で作業できるのも見逃せません。

 僻地ではこうしたテント出店方面には携わらなかったので、そちらでどうなっていたのかはわかりませんが、今回はコンロやガスボンベの運び込みがありました。これらはたぶん業者にまとめてレンタルをかけます。なので、たくさんの団体に希望の器具を受け渡すオペレーションが発生しているのですね。

 これが結構時間を喰います。いち出店者からすればもっとスムースにできないのかとか言いたくもなりますが、こういうのが順調に進んでも時間がかかるものだし大抵順調にはいかないということは僻地でのこれまでの経験からわかっています。なので、早めに搬入できた長机と椅子を使って、同期と面接ごっこをして遊んでいました。ようやく面接とおさらばしたところでしたのに……。

 準備を終えて本祭がいざ始まると、心休まる時はもはやありません。大量の客が流れ込み、キャンパスは人でいっぱいになります。他の食品出店に携わったことがないので、そちらのシステムはわからないのですが、我々の店は整理券制になっています。毎年、その対応には苦慮していますね。

 今年は蒸す工程で手間取り、初日は目標数を売り切れないまま終わってしまいました。また、シフトの中には外回りの宣伝があり、看板を掲げてキャンパスを歩き回るという仕事*2なのですが、あまりに混雑しているのでそれを禁止するというお達しが実行委員から届きました。これは明日以降も続くようで、初日から波乱のスタートです。

 

 なぜ毎年スムースに行かないのでしょうか? これは毎年議論され、毎年同じ結論に辿り着く問題です。つまり、我々にはどうしようもないのですね。どうしようもない原因は、主に2つあります。

 ギョウザドッグは、冷凍されているものを袋から取り出し、15分くらい蒸し器に放り込んでおくと完成します。蒸し器は上下で2段あり、1段で12個調理できます。ひとつひとつできあがるのではなく、特定のタイミングでわっと一気に完成するということですが、これが扱いの難しい原因その1です。

 これは、待ち時間が発生するということであり、整理券とギョウザドッグを結び付け管理する業務が発生するということでもあります。これが結構複雑で、てんやわんやになる原因です。これは、ギョウザドッグを扱う限り避けられない運命にあるでしょう。

 もうひとつの原因は、来ない客です。基本的にはこういう流れになります。

 

蒸し器「1番から12番を蒸すよ」

客A「12番買ったよ、またあとで来るね」

蒸し器「1番から12番が完成したよ」

客A「帰ってきたよ、これ12番の整理券」

我々「12番すね、どうぞ」

蒸し器「1番から12番を売り切ったから13番から24番を蒸すよ」

 

 これが通常(理想)なのですが、もし客が来ないパターンだとこうなるのです。

 

蒸し器「1番から12番を蒸すよ」

客A「12番買ったよ、またあとで来るね」

客B「13番買ったよ、またあとで来るね」

蒸し器「1番から12番が完成したよ」

我々「1番から11番は引き取りに来たのに12番の客Aが来ない」

蒸し器「まだ12番が残ってるから13番から24番を蒸せないよ」

客B「13番まだ?」

我々「まだっすね」

 

 このように、「すべて捌けないと次の1ダースを作り始められない」という性質があるのですね。整理券の販売を一時停止したり、あまりに来ない客は無視して先に進めたりという対策はできますが、こうした客は毎年(というかほぼ毎日)現れるのが現状です。これにより、ただでさえややこしい業務がよりこんがらがってしまうのでした。

 

 私は、どうにか役に立とうとこれの改善を試みました。

 まず、毎回ルーズリーフに即興で手書きされている管理シートを、Excelで自作しました。フォントもミステリアスアイランドで使われているそれに合わせた自信作です。各番号ごとに整理券が売れたかと引き取りに来たかを、またダースごとに調理が完了したかを記録できるようになっています。

 また、たまたま家にあった発泡スチロールの箱を持ってきました。発泡スチロールは断熱材になりますから、蒸しあがったギョウザドッグもこの中に入れておけば保温になるはずです。そうすれば、次の1ダースの調理をすぐに開始できます。

 結局、幸いにもこの2つの策はうまくいったようでした。管理シートは気が向いたのなら来年以降も使えるデザインにしてありますし、後輩に受け継がれるとのことです。発泡スチロールの箱は、蒸し器の熱を浴びたせいか外部に大きい凹みができたので廃棄しましたが、提供スピードは格段に上がっていましたし、この前例も継承されるかもしれません。

 

 ここでの仕事が楽しいのはもちろんですが、最後ですし他のところでも楽しみました。

 同じく仕事ではあるものの、映画愛好会の方でも働いていましたし、教室企画も観に行きました。申し訳なさから漫研には入れませんでしたが、あとから聞いたところによると、なんと超てんちゃんのコスの人がいたらしいです*3。行けばよかったと深く後悔しています。

 以前、僻地のキャンパスで観たアイドルの同期が、今回もパフォーマンスをしていました。今回は、単独ではなく他のグループと合同でのステージです。そのグループも、アイドルのコピーダンスをしていること、弊学の学生から構成されていることは同じようで、他にもいたのですね。

 彼女らが出るというので、普段は見ないステージでのエンディングも観に行きました。ここでのメインコンテンツは今回のテーマソングを担当したバンドで、テーマソングや人気の曲をいくつも演奏していました。邦楽のライブは行ったことないのですが、この穏やかで緩やかな熱に満たされた夕暮れの雰囲気はいいですね。

 そこで聴いて気に入ったものの名前がわからず、「『ららら ららら らららら ららら ららら』を繰り返す部分があって明るめな最近の曲ない?」と妹に聞いたら、「『Mela!』だと思うけど、最近の曲ではないよ」と言われました(合っていました)。なんとなく最近聴いた覚えがあったのに、自分の感覚は信用ならないものです。この『Mela!』(緑黄色社会)と『花占い』(Vaundy)、あとテーマソングが結構気に入って、最近はよく聴いています。

 そうそう、テーマソングの演奏が終わったあと、実行委員からそのサブスクでの配信が発表されていました。ちゃんと歌詞まで付いていて、YouTubeに動画が上がるだけな僻地との格差を強く感じました。それを披露するステージだって、広さも性能も段違いです。都会では煙が出ますし巨大なモニターすらあります。いくらかかったんでしょうね。

 出店も実に個性的(うちも大概なのでしょうが)で、担々麺だのハンバーグだのクラフトコーラだのと高校までとは大違いです。案の定、舞浜みたいな祭り価格ではあるのですが、つい買ってしまいますね。自分のために買ったのもいくらかありましたが、働いている後輩やこちらまで出張している僻地大学祭実行委員会の後輩に奢ったのもそれなりの額になっている気がします。怖いので数えてはいませんけど。

 こちらの実行委員会の組織図は知らないのですが、協賛物品を使った福引はこちらでも行われています。もっとも、こちらはパンフレットと同じく有料で、景品の質が格段に高いのは格差を感じるところです。5連で回したらすべて最下位賞が出て、ポテトチップスを山ほど持ち帰る羽目になりました。もう買いませんからね。

 

 さて、大学祭が楽しいのは撤収作業にもいえることです。急速に暗くなり退校時間が迫る中、ちょっとした極限状態で作業に追われるのは、準備と同じくらい楽しいのです。

 僻地との違いはこれまでに挙げたようにたくさんありましたが、単に強い弱いではなかったのがテントの重りです。同一品ではないにせよ、両キャンパスでほぼ同じテントを使います。立てる手間も畳む手間もたいして変わらないのですが、重りだけは違っていました。

 僻地では水を入れたポリタンクをテントに結びつけることで重りとしています。一方、都会ではテント専用の重りを使っているのです。これがひとつ15kgあり、それが各脚にひとつですから計4つです。重い金属の塊はひとつでもかなり運びにくく、これが最大の難関でした。

 肉体的なつらさは精神的なつらさに繋がりますし、精神的なつらさは肉体的なつらさに繋がります。すっかり辺りは暗くなり、作業は山積みなのに進まないのがキツくなってきます。ずっと働いたあとのことですから、肉体も疲れ切っています。

 テントの脚や骨、重りは受付へ返しに行かなくてはなりません。その列が非常に長く、ひどい渋滞が発生していました。窓口を分散させでもしたらいいのにとも思いましたが、こちらの実行委員たちはこのあと22時くらいまで作業し、翌日も作業が待っている*4と聞いて同情しました。

 部署が違うので確実とは言い切れませんが、僻地の場合だと参加団体は借りてきたものを集積所に置くだけでよく、割り振られた番号をチェックして仕舞い込むのは実行委員の役割でした。足りない番号が見つかれば、それを割り振った団体に責任を押し付けられます。

 

 そうして片付けが終われば、ようやく解散です。私が張り切って企画した打ち上げに向かいます。よく勘違いされるのですが、私は打ち上げだけを楽しみにしているのではありませんよ。イベントそのものも打ち上げも、どちらも等しく私にとっては大事なもので楽しみにしています。もちろん、打ち上げが好きなことは否定しませんがね。

 そうそう、委員会だと何度かあったことなのですが、団体のロゴ入り服を打ち上げで着てはならないという風潮がありました。これは万が一外部で何かあった時に委員会全体が特定され責任を負わされないようにという策だったのでしょうが、こちらではそんなことはないようです。公的組織か否かも関係しているのでしょうね。

 みんなに脱がなくていいのか聞くと、ひとりならず女子から「これしか着てないんだが?」と言われ、女子の服を剥ごうとする人になってしまいました。私が悪かったです。

 打ち上げには、とても多くとまではいかずともそれなりの人数が来てくれました。普段はあまりこういう会に来ないタイプの後輩も来てくれて嬉しい限りです。1年生も結構来てくれて、ありがたいことですね。店もどうにかハズレではないところを選べたようです。

 解散後、気づくと私は見知らぬ駅にいました。すでに帰る術はなく、カラオケに一夜の宿を求めるしかありません(ネカフェは去年で懲りています)。フリータイムはひとりだと使えないこともこの時初めて知りました。

 入れはしたのですが、ふたつみっつ歌ったあとで眠りに落ちました。5時の少し前になってフロントからの電話で起こされるまではあっという間でしたね。また、その時にクレカをフロントに置き忘れていたことがわかりました。親切な店員さんに救われたのです。

 

 これで大学祭もおしまいです。学校の祭りに参加できるのは、これが最後になるでしょう。ほんの少しも心残りはないとまでは言いませんが、大学祭があったことで私の大学生活が間違いなくよりよいものになったことだけは確かです。

 順当なルートでなかったのにこうして関われたのは、なにかの導きというものかもしれませんね。大学生活で一番の恩人は、説明会で出会った以前の委員長でしょう。2年生から入ろうとしたイレギュラーでありながら、委員長が説明会に受け入れたり口利きをしてくれたりしたおかげで、無条件に落とされることなく今の広報局に入れたのですから。命の恩人と言っても過言ではないですね。

 実のところ、大学祭のどこがいいのかというのはあまりはっきりしていません。同じ局や部署の仲間と打ち合わせしつつ企画を進めていくのも、本祭間際になって他の局の人々と混ざりながら時間に追われるのも、本祭の雰囲気の中でスタッフとして動き回るのも、本祭の終了後に暗い中で明日への準備や片づけを行うのも、そのどれもが好きだからです。これらをとりあえず「ザ・文化祭」と呼称していますが、これへの憧れというか渇望というか執着は高校の頃からずっと続いています。毎回、存分にこれに浸かっているとは思うのですが、味を占めるだけに終わっています。いいものはいくらあっても足りませんからね。

 所属するサークル(委員会なので厳密には違うのですが)、つまり大学内での居場所としての実行委員会の良さとはまた別に、大学祭そのものの良さというものがあるのです。自分が陽キャだとは思わないけど、何かを作り上げてたくさんの人に披露したいとか、それを誰かと共有することに実は興味があるのなら、大学祭の実行委員会に入るというのは悪くない選択だと思います。

 当日ももちろん楽しいのですが、準備や片づけがやっぱり楽しいんですよね。それを言い表せる言葉も持たないままに、ずっとその雰囲気を追いかけ続けています。本番は待ち遠しいけど、準備が終わってしまうのは惜しい、早く終わらせないといけないけど、準備も片づけも終わって欲しくないしずっとこの時間にいたいと思えるのは、幸せなことなのでしょう。

 

 さて、サークルでは狂気的なイベントが開催されました。その名も「舞浜ウォーク」です。響きから嫌な予感がしますね。渋谷マークシティを20時過ぎに出発し、徹夜で歩いて舞浜を目指すのです。どうしてこんなことを思いついてしまったのでしょう。

 大学祭を経て見知った顔も増えてきましたが、やはり1年生はまだまだ覚えていない子も多いというのが現状です。特に、女の子はほとんどわかりません。老いぼれからすると、どの子も同じに見えてきます。

 今回は5人いたのですが、その子たちのなんと賑やかなことでしょうか。ずっと楽しそうに話していますし、たまに歌すら挟みます。「その元気、いつまで持つかな」とか思っていたのに、結局は最後まで元気だったのですから恐ろしいことです。

 日付が変わったあたりで、我々は有楽町に着きました。予定ではここのジョナサンで休憩するはずでしたが、そんなに大勢が入れるような余裕はなさそうでした。なので、何人かがカラオケに入って人数を分散することにしたのです。

 カラオケに行ったのは、私と幹部たち、そして1年生が6名でした。女の子全員に加えて、男もひとり混じっています。

 読者の皆さんは、カラオケで食べ物を頼みますか?今日日、持ち込み可なところも多いですし、そもそも高いので私はあまり頼みません。飲み物は頼まないといけないことがほとんどなので、それは頼みますがね。

 なので私や3年生はポテトを頼んで摘むくらいに留めていたのですが、1年生たちはファミレスにいるかのようなペースでどんどん注文していきます。割り勘になると踏んでいるのでしょうか。そんなに空腹ならジョナサンに行けばよかったのにと思います。

 ところで、カラオケといえばヒトの本性が暴かれ試される場としておなじみです。普段聴いている曲や歌える曲をただ入れればいいのではなく、その場の雰囲気に合わせた選曲をしなくてはなりません。さすがにここで『INTERNET YAMERO』を歌う勇気はなく、無難そうな『強風オールバック』を選びました。一方、ある後輩は『きゅうくらりん』を歌っていました。いいセンスです。

 この後輩は、黒いキャスケット帽を被っていました。しかも、このキャスケットには猫耳がぴょこんと付いています。そもそもがかわいいのはもちろんのこと、帽子がそれはもう似合っていたので、無茶苦茶にかわいいのでした。2023年に見たもっともかわいいものはこれで決まりです。

 会計はサークルの長が立て替え、店を出たあたりで私の分を支払ったのですが、ほんの2時間もいなかったのに3000円弱取られた気がします。深夜のカラオケは高いですね。ポテトをひとつ買っただけでこれですから、1年生たちは5000円とか平気で達してそうです。

 街並みは変わり、だんだん水が近づいてきました。橋が増えてきます。ある橋を渡っていた時、1年生の男女が「ひがしくもばし」がどうのと話していて、「これって『しののめ』だよね」と仲のいい1年生にそっと耳打ちすると、「そういうこと知ってるの、オタクだからですよね」と嗜められました。彼らの中で、ここは紛れもなくひがしくもばしですからね。その通りです。

 

 こういう行軍の常として、列は縦に伸びています。もういくつめかもわからない大きな橋を渡っていると、先頭にいた長たちは人数が足りないことを発見しました。そうして、慌てて失踪者の行方を探ったところ、1年生の男女3名が橋の反対側を渡っていると判明しました。

 目撃者の証言によると、道中にあったトイレのために一時離脱したものの、そのあとなぜか別ルートを選択したとのことでした。まだ先は長く、橋を渡り切ったあたりで先行した我々が一時停止し、合流を待つことにしました。

 雰囲気がピリついてくる中、長から本人へ電話が繋がりました。「合流するため待っている」という要件を伝えることには成功したのですが、やがて見えてきた3人はまったく急ぐ素振りを見せていません。

 ようやく到着した彼らに長が「これはサークルでの行事だから、集団行動を心がけてね」とやんわり注意して、再び進軍開始です。ですが、注意された男が「集合行動を乱したことになってるんだ……」と呟いたのを私は聞き逃しませんでしたからね。果たして、反省している人間がこんな台詞を吐くでしょうか。

 

 だんだんと寂しくなる景色の中で、先程の猫耳キャスケットの後輩が『キングダムハーツ』シリーズの話をしました。このシリーズといえば、とかく長命で複雑そうなイメージがあります。

 せっかくなので、この後輩に色々聞いてみたのですが、歴史が長いのはもちろんのこと、その作品のどれもがストーリーと密接に関係しており、「知らなくてもなんとかなる」作品はナンバリングでないものにすらないといいます。つまり、長い長い旅路を最初から辿らなければならないのですね。後輩も、「話のできる相手がいない」と嘆いていました。

 この嘆きに応えられずしてなにが先輩でしょうか。調べてみたところ、どうやらシリーズの全作品がPS4に移植されており、全部買うと2万円くらいかかることが判明しました。

 しかし、その全部がPS plusのエクストラ会員ならプレイし放題*5だといいます。さらに、もうひとつ勧められた『NieR Replicant』もありましたから、さっそくアップグレードしました。大抵のゲームなら*6最初から一般人よりうまくやれるパッシブアビリティを活かす時です。

 まいはまおおはしと共に、ディズニーランドホテルの輝きが見えてきました。我々の旅は、たまにテレビで映る噴水のところで朝5時に記念写真を撮って終わりです。お疲れ様でした。

f:id:idea427:20240214014347j:image

 さて、舞浜駅から少し歩いたところに、ユーラシアというホテルがあります。ここは日帰りでの温泉利用もできるので、一晩中歩いた疲れをここで癒そうというのです。 

 イクスピアリの裏を歩いていると、またもや人数が足りていません。しかも、今度は6人もいません。嫌な予感がして調べたところ、1年生が再び失踪したのでした。しかも、今度は「リゾラから日の出を観たいから」らしく、つまり彼女らはここで分岐することになります。

 当然、うち3名は再犯です。疲れ切ったところにげんなりしたついでに、サークルの長は立て替えた分のカラオケ代を貰っていないことを思い出しました。彼女らはとても心優しい人物ですから、こうした所業へ強く指摘するべきか苦悩しているのがかわいそうでなりません。

 以前から問題になっている1年生が別にひとりいて(今回は不参加でした)、その子のことはみんな知っていました。ですから、この代の最重要注意人物は彼女だとばかりみんな考えていたのですが、この11月になってダークホースが出現したのです。

 

 とはいえみんな疲れ切っていますから、早々に温泉へ入りました。ジャグジーや塩サウナもあって楽しいところでした。黄土色に濁った露天風呂から日の出を拝もうとしたら、曇りでした。

 風呂から上がったら、なんとマッサージチェアで寝ることができます。清掃で追い出されるので、どうせ長い間は寝られないだろうからいいかなーと思っていましたが、寝転がったらすとんと寝落ちました。少しして起こされた時には、無事に眠気が尾を引いていましたね。

 シャトルバスが舞浜駅前まで出ていて、そこで解散したのですが、なんだかんだみんなボンボを見に行きました。後輩の男たちと合流し、朝ごはんを食べようとイクスピアリサイゼリヤに向かいます。パークの閉園後に来たのではもう閉店するところですから、あんまり来たことはなかったんですよね。

 解散して舞浜駅に行ったら、電車が止まっていました。プラットホームはとても寒く、温泉で補給した熱がすっかりどこかへ消えてしまったようです。結局、家に帰りついたのはかなり経ってからでした。

 

 この行事に参加したのは今年が最初で最後になりました。もっと悲壮感のある旅になると思っていましたが、当然ながらひどく疲れたとはいえ、心地よい疲労感です。去年の反省からルートを変えてくれたこともあるのでしょうし(何もない区間が本当に虚無だったそうです)、みんなと楽しく話して過ごせたのも大きいでしょう。

 失踪系1年生とはほとんど話せずに終わってしまいましたが、他の後輩とはいっぱい話せましたし、キャスケットの後輩と波長が合うところをさらに見つけられたのは嬉しい発見です。吊り橋効果というやつなのかはわかりませんが、こうした経験を共有することは、仲を深めるいい方法ですね。

 卒業までもう長くはありませんが、残された時間は有効に使いたいものです。とりあえず、『キングダムハーツ』シリーズと『NieR Replicant』をプレイすることとしましょう。

 

 

 

<アルバイト>

 去年だけかと思っていた展望台の開放が、なんと今年も行われることになりました。あの運営にスタッフを労う心があったことにとても驚いています。

 まともに入ればそれなりの金をふんだくられますし、普通では入れない時間帯なので特別感もあります。特に用事もありませんでしたし参加することにしましたが、店舗にいる全5名のスタッフのうち、参加しない者は2名おりました。ひとりはライブがあるらしく、もうひとりは誕生日なので、それぞれ〆業務に出勤できないということがわかりました。

 その誕生日だったのは店長です。ということで、今年も私はせっかくの展望台開放品にレジ〆RTAをすることになったのです。入念に準備と練習を重ねました。

 なぜこんなに急がなければならないのかというと、展望台で提供される無料の軽食と飲み物が原因です。各々がいくつも取っていくからか運営が個数を用意していないからかは不明ですが、去年はすぐに軽食が姿を消し、おしぼりだけが残されていました。第1回である去年の反省を踏まえ、運営が十分な個数を用意しているかが鍵です。

 

 結局、今年も軽食の確保には失敗しました。彼らに期待したのが間違いでしたね。最後の唐揚げが消えるのをこの目で見ました。

 一応、先遣隊(残り2名のスタッフ)がいくらか回収していて、それをわけてくれました。その温かさが骨身に沁みます。責任は運営のみならず複数取った一般スタッフにもあると仮定し、余っていた酒はその分多く貰っておきました。

 このごたごたは置いておくにしても、東京の夜景は綺麗ですね。ディズニーランドホテルや母校を探しましたが見つかりませんでした。皆さんは展望台に登った時や中継で空からの映像が映った時、つい探すものはありますか?

 もうこの時間に入れることはないでしょう。貴重な経験であることには間違いありませんから、なんだかんだいい感じの気分で帰宅したのでした。

*1:結果、僻地キャンパスの出展が間に合わないところも出ました

*2:これは多くの団体で行われています

*3:このサークルでは、コスプレして宣伝するのが恒例になっています

*4:ちなみに一般の学生にとって翌日は振替休日です

*5:いくつか会員のランクがあり、エクストラクラスだとサブスクが使えるのです

*6:音ゲー、クイズ、パズル、アスレチックといったジャンルを除く