ウルリヒトゥレタス

皐月川納涼床

生存報告: 2023-6

 去年の今頃、私はホテル暮らしを満喫していました。あの食と住が保障され、責任あることを何も考えなくていい期間は夢のようでした。もうあの宿泊療養制度は消えてしまいましたから、またあの生活を望むならそれこそ刑務所か老人ホームに行くしかなさそうです。

 去年と今年とでは、本当にあらゆるものが変わりました。悪い変化ばかり目につくのはよくない癖ですね。

 

 

 

<学校>

 実習のことが段々わかってきました。こいつは思ったより厄介です。

 前期は事前学習に費やされ、数回の授業が不定期に開講?されます。全員の予定を照らし合わせた結果ですから順当ではあるのですが、5-6限というとても面倒な時間帯です。その日は午前にしか授業がないので、毎回がとても暇でした。

 その授業では、事前に資料を作成しておく必要があります。実習先の施設自体やその施設がある自治体についての情報をまとめておいて、授業時にそれぞれ発表するのです。教員たちはそれに補足したり改善点を指摘したりします。

 つまりは別に対面でやるようなことでもないのですね。実際、都会キャンパスと我々僻地キャンパス*1はオンラインで繋がりながらこの授業を進めています。それをわざわざ対面で集まらないといけないのは非合理的に思えます。

 どうやら、これは総授業回数に占めるオンライン授業の割合が一定以上であってはならないという規則があるためのようです。授業の品質を保つためという見方もできますが、それにしても柔軟性のある仕組みにして欲しいものです。一昨年のこと*2を思い出しますね。

 

 他の授業も進んでいます。上記の実習とゼミを除けば、特に印象的なのが3つありました。

 ひとつは、デジタルアーカイブを扱っています。デジタルアーカイブというのは、様々な資料をデジタル化して保存し、後世でも利用できるようにするものです。

 アーカイブ自体にも物理的なものとデジタルな非物理的なものがあって、双方に利点があります。デジタルアーカイブは、HDDのような記憶媒体の寿命や本物ではないことといった欠点はありますが、逆に本物が滅びようともデータを残し続けることはできますし、貴重な資料であってもデジタルデータならいつでも誰でも利用できます。

 ものを捨てられないという私の性格もあってか、とても意義のある領域に思えました。かなり難しそうですし理系の領域っぽさもありますが、いつか関われたら楽しそうですね。

 2つめは、学部を問わず受けられるタイプの授業です。名前を技術史といいます。

 弊学では、学部ごとの必修以外にどの学部だろうと履修しなくてはならない単位が存在します。これらは4種類に大別されますが、その各ジャンルから最低1単位を履修するのが条件です。

 これまでに他のジャンルはクリアしていたのですが、最後に残っていたのが理系っぽい領域でした。これまでいくつか受けたものの、どれも落単していたのです。

 技術史では、技術にフォーカスした世界史が語られます。難しい理系用語は出てこないかきちんと解説されるので文系でもとっつきやすいですし、技術の因果関係や流れが面白くて退屈しません。その上、リアクションペーパーの提出がない(=出席不問)ので単位としても優良です。

 3つめは、特論と呼称されるシリーズのひとつでした。弊学部は学部内がさらに5つの方向にわかれており、自身が属する領域の授業が学部必修になってきます。各領域内において提供される選択肢の中にいくつかあるのが、この特論です。

 名前は区別用のアルファベット以外同じですが、担当教員も扱う内容もそれぞれ異なります。去年もこの特論を受けていましたが、それは沖縄の歴史についてでした。教員の趣味や専門が色濃く出ていると言えるでしょう。

 ただ、私が属する領域は継承がテーマなのですが、今回履修した特論はあまり継承という感じがしません。どちらかというと、別の領域のテーマである女子供が近いでしょうか。

 授業では、まずみんなで映像を鑑賞します。多くの場合はNHKのドキュメンタリーです。その後、少人数グループになって感想や意見を話し合い、最後にそのまとめをそれぞれ発表します。これが各回の大まかな流れです。

 その鑑賞するドキュメンタリーのテーマが女性差別や貧困家庭なので、あまり領域の授業という感じがしないのでした。そういえばこの教員の授業は一昨年にも受けましたが、その授業も教員ごとに内容が異なるもので、今回と同じようなことをしていた記憶があります。

 とはいえ、これはある意味でとても大学らしい授業です。社会問題について学び、それについて考え、別の誰かと意見交換するというプロセス自体は別に嫌いではありませんから、この授業も嫌とまでは思わないのでした。

 

 サードを覚えていますか?教授のアルバイトで知り合った同僚であり、同じ司書資格取得を目指す仲間でもあります。

 今期が始まる前、彼女にどの授業を取ったか聞いたのですが、休学することがわかりました。何かあったのかと少し心配していましたが、共通の知り合いに聞いてみたところ、特に何かあったのではないそうで安心しました。

 それで、サードのインスタグラムのアカウントを見つけたのでフォロー申請を送りました。ところが数日後、そのアカウントのページを見に行くと、依然フォローは承認されていなかった上に、「知り合い以外は通しません」という文章が追加されていました。

 私はインスタグラムにおいては真名を解放していますから、わからないはずはありません。私だと認識した上で拒絶したのですね。

 

 

 

<アルバイト>

 12月に入った新人が、近いうちに辞めるそうです。私もそろそろ辞めようかと思っていたところに先を越されてしまいましたね。

 本人が教えてくれましたが、原因はやはりアルマンでした。私はちょうどアルマンと入れ替わりくらいに出勤しますからあまり会いませんが、日中のほとんどを一緒に過ごしているのではさぞのびのびしづらい環境なのでしょう。このことはダーウェントにも伝えてあるようで、今後の対応が注目されます。

 実際、アルマンは優秀です。ベテランですし、直接の接客以外にも店舗の多くのことに精通しています。意識や意欲ももちろん高いのですが、それの伝え方が刺々しいので周りにはあまりいい影響がないのでしょう。

 つまり、個体としては優秀で店には大きく貢献していますが、一方で他のスタッフには悪影響を与えているのもまた確かなのです。ただの無能と違って扱いに困りますね。自身がやるべきことの多くをアルマンに丸投げしていたダーウェントにも責任の一端はあると思います。

 

 

 

<エドワード・ゴーリーを巡る旅>

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 あなたはエドワード・ゴーリーをご存知でしょうか。『ギャシュリークラムのちびっ子たち』とか『うろんな客』なら知っているかもしれませんね。彼の展覧会があったので渋谷に行ってきました。

 今回訪れたのは渋谷区立松濤美術館というところです。未だに読めませんが、松濤は「しょうと」と読むそうです。まったく訪れたことのないエリアにあって、普段あるエリアとはまったく違う上品な雰囲気でした。

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 白井晟一という建築家によるものだそうで、美術館自体もとても綺麗です。噴水のある吹き抜けがとても印象的で、そこをぐるりと囲う形で展示室があります。ドーナツみたいな感じですね。

 

 エドワード・ゴーリーは絵本で有名ですが、陰鬱としたストーリーや世界観を表現する緻密なモノクロが印象的です。その実物を見てみると、とても小さいのに細い線がぎっしりと書き込まれていました。

 また、ニューヨークのバレエが好きでポスターを描いたり衣裳のデザインをしていたこと、晩年をケープコッドで過ごしていたことは初めて知りました。これまではケープコッドといえばダッフィーでしたが、ダッフィーとうろんな客のコラボとかしませんかね。うろんな客に怯えるダッフィーが見てみたいです。

 

 その帰り、渋谷駅が工事されていました。改造なのか取り壊しなのかはわかりませんが、こうきて見ると古代遺跡みたいですね。

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*1:この授業には両キャンパスから学生と教員が参加しており、合同で行われます

*2:昔からあった「異なるキャンパスの授業は連続して履修できない」という縛りがオンライン授業にも問答無用で適用されていました