ウルリヒトゥレタス

だいたい生存報告

[2021] 第1次中間報告

大学における4月は実に慌ただしい。入学式、健康診断、履修登録、過剰勧誘、新歓連行、飲酒強要、酩酊泥酔、醜態露呈、嘔吐誘発、意識喪失、緊急搬送などてんこ盛りだ。

昨年度は体育くらいしかオフライン授業がなかった。座学に至っては皆無だ。2週目の火曜日には、記念すべきことに最初の座学の授業があった。授業の内容は、恥ずべきことに去年落とした再履修の必修単位だった。

再履修の授業では、おそらく新入生と机を並べることになるだろう。「失礼ですが新入生ですか?いえね、再履修の2年生とかも混じってるらしいじゃないですか。誰がこんな簡単そうな授業落とすんでしょうねぇ。まぁ、私のことなんですが」と掴みのあるファーストコンタクトも考えてある。これがワーストコンタクトとなることを懸念する声も上がったが、代案は上がらなかった。

当日の朝、お出かけの順序はスイッチが入らずハイにもならなかったので想定より5分ほど遅れて完了した。少し早めに着けば周囲の学生と話せることに思い至ったのはその後だ。校門への修正された到着予定時刻は開講5分前で、もう後の祭りだ。

開講3分前くらいにやっと教室へ入った。真ん中が空いた3人席の机は既に多くが埋まっていて、あわてて近くの空席を見つけて着席した。荷物を降ろしていると、後ろからやってきた男が私のふたつ前の机に腰を下ろした。その後、開講時刻まで前の座席の学生たちを観察したことでいくつかの知見が得られた。①私のひとつ前に座ったふたりとふたつ前に座ったひとりの女たちは友人関係にある、②そのグループと男はすぐに会話を成立させた、③私も前に座ればよかった、④私は彼らが持っている出席票を持っていない。

この頃にはチャイムが鳴っていたが、前にいた教授は「もう少しかかります」と言ったきり、授業を始める様子はない。そっと席を立って(姿勢は低く)出席票を回収して戻り、紅茶で一息ついた頃になってようやく教授は話し始めた。

話の内容はほとんどが学部の成り立ちだとか教授の昔話で占められており、去年とさして変わらない。唯一得られた興味深い情報は「大学の授業は15分遅れて始まり15分早めに終わるのが通例だ」というものだったが、まもなくこれは過去の話であることがわかった。

授業は終わったが、誰と話すこともなかった。同じ机にいたのは男だが、その者は他の机にいる男と話していた。ふたりでいるところに別の者を加えるのは面倒だろう。一方で、前の机には女の3人組がいた。3人なら会話がふたりになった瞬間を突いて話しかけることもできただろうし(可能性を語るだけなら自由だ)、一挙に3人の知り合いを作ることもできた。絶好の機会を逃したことが悔やまれてならない。

正直に白状すると、新入生にマウントを取りたかった。アビリティレール機能(便利な場面もあるが戦力が整うにつれ邪魔になることが増えてくる機能として知られている)くらいには重宝がられてみたかった。「履修のことならお聞きなさい。PCスキルの単位のこともお聞きなさい。ロシア語は聞かないで下さい」くらい言ってみたかった。その機会も失われてしまったのだ。

学食へ向かうと、これまでに見たことがない程に人でごった返している。10分おきくらいのスパンで机も椅子もアクリル板も動かさず黙食をするよう呼びかけるアナウンスが流れていたが、そこかしこで椅子を移動させアクリル板のない場所で顔を突き合わせて食事する者や完食しても延々と話し込む者、ひとつの椅子にふたりで座る者がいるなどほとんど守られていない。

ひとりでひっそりとラーメンを食べ、食事中どころかこの日の授業が全て終わるまで「いただきます」と「ごちそうさまでした」以外声を発さなかった私とは大違いだ。1日目にして、早くもクラスター発生とオンライン体制への逆行を心待ちにするようになった。「対面になれば友達ができる」は悪質なデマだ。