ウルリヒトゥレタス

皐月川納涼床

就活雑感: 総括

 就活が終わりました。ひとまずはめでたいことです。

 役に立つとは到底思えませんが、感じたこといくつかを項目別に書き残しておきます。就活エアプなのにお気持ちが12400字にもなってしまいました。こういう適当な人間に騙されてはいけませんよ。

 以降を読むのも面倒だ、手っ取り早く結論だけかいつまめという方向けに間違いなく言えることは、「早めにやった方がいいよ」と「深く考える機会を持った方がいいよ」ということ、そして実用的な情報が欲しいならもっと他の人を頼るべきであるということです。そんな単純なことができずに私はこうなっているのですから、あなたが私のようにならないことを祈るばかりです。

 

 

 

時期

 常々不思議だったのは、私が就活を始めるタイミングを逃すたびに「まだ大丈夫だよ」と言われ続けていたことでした。そして、それは半分真実でした。つまり、「卒業までに内定をひとつも得られずに終わってしまうのか?」という問いに対しては、かなり遅くまで「まだ大丈夫」ですが、「望んだ通りの会社に入れるか?」という問いに対しては必ずしもそうではないということです。

 

 まず、就活を早めに始めるメリットは、①選択肢が多いことと、②慣れる時間があることだと私は考えています(想像でしかありませんが)。早い時期ならば、当然ながら多くの求人があります。サマーインターンなどは必ずしも就活に直結はしないかもしれませんが、たまに内定直結型のものもありますから、うまいことそれに引っかかることができたのならしめたものです。倍率は高めで、インターンへの参加もできないことがあるそうですが、まだ始まってすらいないのですから、この時期ならうまくいかなくてもそう慌てずにいられるはずです。

 私が3年夏のインターンに参加しなかったのは、調べてみたら選択肢があまりにも多くてどれを選べばいいのかわからなかったからです。なぜそうなるのかといえば、選び方や基準がわからないからであり、それらを焦らずゆっくり考えたり探したりすることも、夏から始めていればできるでしょう。

 一部を除いて、どうせ求人が始まるのは4年の3月になってからです。私のようにそこから始めてもどうにかならないこともないのは確かですが、それより前に企業を選び、就活について考え、自己分析をして応募する経験を積めるのは大きいのではないでしょうか。「やったことがある」というのは、きっと大きな強みになるはずです。

 

 私が就活を始めたのは、4年の3月でした。こうなっている理由の多くはここにあると思います。後輩のひとりなど、3年の6月よりも前からインターンに勤しんでいました。彼女は何をしてもきっとうまくやるでしょうが、これはたぶん外れ値、ものすごく偉い人のパターンです。

 程々に偉くありたいのなら、3年の夏から秋にかけてがちょうどよさそうですね。早めに動ける人の多くはこの時期から動き始めていたように思います。余裕があることや経験があることのアドバンテージは、いずれ役に立つはずです。

 なお、私が始めたのは3月でしたが、ずっと精力的に就活をしていたのではなく、落ちて病んでやめてを繰り返していたので、断続的にやっていたようなイメージです。惑わされることなく集中的にやれたら案外早く終わるかもしれませんね。

 とはいえ、原因や相手がなんであろうと、"お祈り"されるのは少なからずダメージを受けるものです。「おまえはいらない」と拒絶されたのですから、その事実だけでダメージ判定は生まれます。かつて就活と恋愛を重ね合わせた話を見たことがありますが、その線でいけば振られ続けているということですから。拒絶自体が地雷だと尚更つらいはずです。

 ぜひ、自分の精神状態のことも気にしてあげてくださいね。

 

 

 

業界と企業

 面接でよく聞かれるのが、「なぜこの業界を志望したのか?」、「なぜうちを志望したのか?」ということでした。この質問がクラスター弾もびっくりの非人道的兵器であることは明らかです。

 

 私の例からお話ししますと、私はIT業界ばかり受けていました。なぜIT業界なのかといえば、IT業界に進んだ社会人の知り合い数名が楽そうだったからです。ある人は出社かテレワークかを決めることも勤務時間を調整することもできるようでしたし、またある人はずっとテレワークで給料も職場環境もいいと話していました。不純ですね。

 当然、こんなことをそのまま言う訳には参りません。カバーストーリーを考える必要があるのですが、これがまた難しい話でした。なにせ、強くは望んでいないものを強く望んでいるように嘘を吐かなくてはならないのですから。

 会社単体に限ってもそれは同じです。正直に申し上げれば「エージェントが持ってきたから」とか「他より多少マシに見えたから」になります。9月だの10月だのに選り好みしていられる余裕なんてある訳がないのですから、最初から聞かないで欲しいものです。

 

 ではどうすればこうならずに済むかといえば、自分についてよく考え、そして情報を収集する必要があります。つまり、業界研究と企業研究というヤツですね。

 経験や想い、気づきのようなものを無から創り出せる天才でもない限り、多少なりとも真実を織り交ぜておくのがいいでしょう。とはいえ、ここらへんを作るのは本当に下手ですから、もっと慣れた人を頼るべきです。

 私は、熱意を見つけることがついぞできませんでした。なんとしてもこの会社やこの業界に入りたいというのがなかったのです。もちろん、それでも興味には差が生まれますが、それはごく薄っぺらいものでしかない。

 これは就活の軸というものに繋がります。世界を動かすような仕事がしたいとか、チームで働けるところがいいとか、そんな望みも浮かんでこなかった。そんなんだから、「研修をはじめ学習や成長の機会があるところ」という醤油皿並に底の浅い答えしか出てこないのです。

 

 なお、正直に申し上げても、私に判断できるのは勤務地と給料だけでした。業績のすごさだとか独自性はわかりませんでしたから。あなたはぜひともなんだか難しそうな株主向け資料を読み解ける人になってくださいね。

 私は現在地の東京から離れたくありませんでした。生まれてこの方実家暮らしで独居への不安もありましたし、何より東京の持つ地の利は絶大なものがあります。何が悲しくてあらゆる文化に簡単にアクセスできる場所から離れなければならないのでしょう。超てんちゃんは東京にしかいないのですよ。

 給料は、少し注意を要します。基本給というものはありますが、各種手当だのみなし残業だのと給料の内訳は複雑ですから、それを精査する必要があります。この見方についても、誰か詳しい人に習っておきましょう。

 なお、私はある人に「おまえは私より給料のいいところに入れないだろうね」と呪いを掛けられています。これがかなり高かったものですから、ほぼ必中でコンプレックスを齎す非常に凶悪な呪いでした。もしいいところに入れたとしても、あなたは後輩にこんな呪いを刻まないようにしましょう。閑話休題

 

 私はもっと考える時間を持つべきだったのでしょう。自分が何に喜びを感じるのか、どういうことをしていたいのか、それはどの業界でなら得られそうか、さらにその中のどの会社が適しているかを考えていれば、右往左往することもなかったのです。SEの募集を受ける中で「どのようなエンジニアになりたいか」を何度か聞かれましたが、これにも答えられたでしょう。

 ここまでの私の話が薄く聞こえるのは、なにひとつとして経験が伴っていないからです。想像ばかりで物事を語ろうとしているからです。リアリティーを持った言葉でなければ、人の心を動かすことはできません。そのリアリティーを与えてくれるのが知識と経験、思想です。

 逆に言えば、それらがきちんとしていれば格段に就活を進めやすくなっていたはずです。まさに軸ということですね。

 

 

 

力を入れたこと

 いわゆるガクチカというヤツです。

 

 私の場合は、幸いにも大学祭の実行委員会で活動していたことが使えました。私からしてみれば何か努力した感じはしませんが、食いつきは悪くなかったように思います。

 なぜ入ろうと思ったのかはそれなりに聞かれました。答えは「誰かと企画を創り上げて運営することが楽しかったから」です(高校時代にも文化祭の実行委員会に所属していましたからね)が、それを賢そうに加工するのは断念していました。うまく整理して言語化してから使えば、ちょうど就活の軸というものにできていたかもしれませんのに。

 自分についてよく理解している人、なんでも話せると思える人に相談しておくべきだったと思います。もちろん他のエージェント等が使えないのではありませんが、内面を言語化するには特別な人の助けが必要です。閑話休題

 

 なんにせよ、多くの場合はサークルやアルバイトの記憶から使えそうなものを探すことになると思います。ここでもリアリティーがあるといいですから、具体例や数字が出せるエピソードなら特効がありそうです。

 そして、後述するエントリーシートでも同じことが言えますが、就活用の言語をインストールする必要があります。素材となる経験があっても、ただそれを話すだけでは無駄になってしまうかもしれない。それを伝わりやすく加工する必要があるのですね。ガクチカエントリーシートに書くことも面接で聞かれることもありますが、いずれにせよ事前に文章として書いておくのがいいでしょう。

 また、面接ではある程度予想できる流れというものがありますから、それへの対応もしておくといいと思います。ガクチカを聞いた後に「それで得たことは?」とか「苦労したり挫折した経験は?」とコンボが組まれることがあるので、どう質問が派生するかを予想したりよくある派生パターンを覚えたりして対策しておくと慌てずに済むということです。面接の経験者に取材して実例のサンプルを集めると効果的かもしれません。

 

 これを予想質問みたいな名前で呼称するそうです。すべての質問を事前に予想することは困難とはいえ、やはり頻出する質問はありますし、まったく同じでなくても似た質問であれば応用もできるでしょう。ぶつけられる質問を想定し、それへの答えを文章として書いておくことで、本番では慌てずスムースに答えられますし、その文章を書いている過程であなた自身への理解も深まることでしょう。

 

 

 

適性検査

 IT系のみならず、様々な企業で使われているそうです。効果はわかりません。

 いくつもの種類が存在し、企業からこれを受けてねと指定されたものを解くことがそのまま審査となります。種類は正直意識していなかったのであやふやですが、コンサルタントだかなんだかでは重要なものだそうです。一度だけこの話を聞きましたが、その話をしてくれた人はやっぱり失踪しました。

 

 私が受けた中で問題そのものを分類すると、数学系と国語系に加えその他と性格診断の4種類に大別できたように思います。試験によって詳細は異なりますが、これらが組み合わさったものと戦うことになります。

 数学系はいわゆる四則演算です。厄介なことに分数や小数も出てくるので、徒手空拳で挑むには少し心許ないですね。幸いにも電卓は使えますから、必要に応じて頼るといいでしょう。分数と小数の仕組みについても、初歩ながら見直しておくと役に立つかもしれません。

 国語系は、高校までのテストに出てきたようなものとそう変わりません。難易度は低めですから、慌てずに解けば問題はないでしょう。抜き出しとか文章を挿入すべき箇所の指摘みたいなのも出ます。

 その他は、どう形容したものか困ってしまいます。これを考えたヤツはよっぽどのひねくれものだったのでしょう。論理的思考ができるかどうかを問うのが目的らしく、一定の法則を覚えて問題にそれを適用し、処理が完了したあとの状態を思い浮かべる必要があります。細かい種類は3つくらいありましたが、その点はどれも変わりません。後半になるとまったくわからなくなるので、やさしい部分を正確に解こうとしていました。いきなり交戦して混乱しないよう、例題を探しておくくらいしておけばどうにかなります。それくらいしか思いつきません。

 

 性格診断は、「自分は████だと思う」とか「████する方だ」みたいな文章があって、それのあてはまり度合いを5段階くらいで評価するタイプや、いくつかその文章が並べられている中からもっともあてはまるものともっともあてはまらないものを選ぶタイプがあります。これも対策をするようなものではありませんが、私はどっちつかずな答えをあまりしないとか一貫性を持って答えるとかを心掛けていました。あと、たまに芸術家に関して言及するものがあって、「性格診断で社会不適合者は芸術家タイプになる」という話に怯えていたのでなるべく触れないようにしていました。いいかどうかはわかりません。

 ところで、質問の中には「嫌な記憶を一日に何度も思い出す」とか「何もかも嫌になる時がある」みたいなものがあって、私はそれをあてはまらないと答えていたのですが、そうやって嘘を吐くたびに私の中のどこかが死んでいくような気がしていました。閑話休題

 

 そういえば、基本的に試験の結果は開示されないのですが、面接中に少し触れられたことはありました。試験で明らかになった傾向と面接中に聞かれた「自身で考える強みと弱み」が合致しているかどうかを見ていたようです。無理に作ろうとはせず、一貫性のある回答ができるようにしていたのがよかったのかもしれませんね。

 

 

 

エージェント

 よくない印象を抱いている方もいらっしゃることでしょう。わかります。

 

 私は、一足先に就活を終えた友人から紹介されて新卒エージェントを使うことにしました。もっとも、彼は留年が確定して卒業できない身体となり、その内定も露と消えてしまったのですが⋯⋯。彼が内定を手に入れたのは3年の1月か2月くらいだったと記憶していますから、うまく使えばその時期に終えられるようです。

 登録すると、面談を経てエージェントが配属され、以後はそのエージェントと相談→紹介された企業から選んで受ける→サポートやフィードバックを受けつつ進めるの繰り返しです。基本的には企業と我々とを仲介しているのですね。

 

 こうしたサービスを使う利点は、当然ながらひとりで戦わなくていい点です。マイナビのようなサイトを見てみれば、非常に多くの求人で溢れていることに気づくでしょう。私のような選択肢があまりに多いとフリーズするタイプの人間にとっては、ある程度の希望を伝えればそれに沿っていくつかピックアップしてくれるのは便利でした。

 また、その会社の面接で他の就活生がどんなことを聞かれているかを教えてくれることもありますし、オンライン面接の時にカメラの角度や証明をどうすべきかリアルタイムで指導してくれることもあります。このように、ひとりで戦うのでは手に入らない利点があるのは事実です。

 

 一方、自分以外の人間が関わってくることはデメリットでもあります。企業を検討したり選考したりする中で、かなり頻繁にエージェントと連絡を取る必要があります。そういうのを面倒に感じたり、失敗したことを引き摺ってさらに連絡を取らなくなる私みたいなタイプにとっては、逆に就活をしなくなる原因になるかもしれません。

 

 もうひとつ、我々がサービスを利用するのは無料です。ではどこからエージェントの給料が出ているのかといえば、それは企業たちなのです。送り込んだ学生が内定を取れたなら報酬がエージェントに行くような仕組みだと聞いています。

 つまり、エージェントは所詮仕事としてやっているのに過ぎないのですね。これはすなわち彼らが適当にやっているということにはなりませんが、疑念を抱く元にはなります。もっとも、真偽を確かめる方法などありませんし、それならどうして落ちるところばかり紹介してきたのかは謎です。

 例えば、私の場合ですと「まだ志望業者があまり定まっていない」と伝えていた時期に勧められたのは介護や製造でした。これらの業界には苦しみしかなくて給料も安い、そして人が足りていないという偏見がありますから、こういった業界に誘導するよう言われているのでは?という疑いが出てきたのですね。それを抜きにしても私とは相性が悪いとは思います。

 

 また、もしうまいこと内定を取れたとして、あなたは内定承諾期限というものに直面します。ちょうど、告白した相手からいいよと言われたけど、本当に付き合いたいのならいつまでに決めてね、と付け加えられたようなものです。もし承諾するのなら、書類にサインをして手続きを進めていくことになります。

 しかし、これに法的拘束力はないそうです。つまり、付き合うことにしたあとに他の女を口説いても問題はないということです。もちろん企業に迷惑はかかるでしょうが、これは比較的スタンダードなダブルスタンダードとされます。浮気よりはマシなはずです。

 ですが、いったん承諾した内定に断りを入れる場合、エージェントを介さねばなりません。ひとりで進めていたらただメールを送るか何かで済んでいたでしょうに、面倒ですね。こうなると、エージェントも自身の利害に関わってくるのでしょうから、いい顔はしません。

 私の場合ですと、承諾時に「大学の進路指導課から『承諾はとりあえずしておいてもう少し就活を続けるだけ続けてみたら?』と言われた」と伝えたところ、「それはできない」と言われました。できなくはない(決してよくはないが)あたりが誠実な回答だったでしょうに。

 

 まとめると、エージェントは向き不向きが存在するということですね。もちろん個人の相性もありますし、「他人に頼る」ということへの適性や自分の意志をきちんと持っていられるかが大きく関係してきます。うまく他人を頼れる人、頻繁に連絡を取って物事を進めるのが苦ではない人、きちんと自分の意向を伝えられる人なら必要はないかもしれません。

 もっとも、そういう人は大抵優秀ですから、頼るまでもなく内定を取れているのでしょう。そうでないとしても、素直に努力できる人はエージェントとそれこそ二人三脚に戦えると思います。本当にどうしようもないのは、優秀でもない癖して他人を頼ることもできない私です。

 

 

 

エントリーシート

 私と相性が悪いもののひとつです。

 もしかすると、普段から文章を書いていると有利だと思われるかもしれません。私もそう思っていました。

 ところが、実際はESのための文章の書き方というものが存在しますから、それに沿って書かなくてはなりません。これがえらく苦行でした。

 

 私が普段書いているのは、ひとつの文にこれでもかと情報を詰め込んで、ややこしい言葉や表現を多用した文章です(そのつもりです)。個人的にはこれが美しい文章と思っているからですが、ESではその真逆がよいとされます。

 つまり、ひとつの文にひとつの事柄しか書いてはいけないというのです。読解力を疑いたくなりますね。なまじっか経験がある分、慣れないことをしなくてはならないのが余計につらいことでした。これは「伝えるための文章を書く力があるか」とか「伝えたいことをきちんと筋道立てて言語化してそのフォーマットに落とし込めるか」というのを見ている訳ですから、当然なのでしょう。

 

 とにかく、普段書いている文章とは違う独特な流儀がありますから、"ウケる"書き方というのはぜひとも身に付けておきたいところです。内容がいいのに表現方法で損をするのはもったいないですからね。ここは素直に誰か慣れた人を頼るのがいいでしょう。最近はAIに頼るのもアリかもしれません。

 添削は主に3名を頼りましたが、うち2名は途中で失踪しました。そんなにひどい出来だったからではありません。単に嫌われただけです。相談する相手は選ぶようにしましょう。

 

 なお、エントリーシートの書式はいくつかありますが、だいたいはエージェントの会社から供与されたものを使っていました。大学指定の書式もあるそうですが、結局使いませんでした。たまには企業から無垢のファイルが送られてきて、それに記入して送り返すよう指定されることもあります。

 いずれにせよ、書くことはそう変わりません。後述しますが、汎用的な項目と企業や業界特有の項目があります。字数が違っても、大まかな方向性や伝えたいことが定まっていれば、その都度細かい調整を行うだけでどうにかなるはずです。

 なお、最初にエージェントに言われて書いたエントリーシートをエージェント側が所持しており、書類が必要な際はそれを企業に渡していたようです。面接時、相手はそれを見ている訳ですから、就活での強み弱みやガクチカなどの方向性が変われば、それに合わせてエージェントの持っているエントリーシートを更新しないと、話が食い違います。もしエージェントを使うのなら、必要に応じて更新を欠かさないようにしましょう。

 

 

 

面接

 死亡率9割超を誇る、間違いなく私に不向きなコンテンツです。就活自体が不向きなことばかりでしたけど。一方で、度々登場した失踪者のひとりは面接に落ちたことがないと語っていましたから、得意な人はとことん得意なのでしょう。必要なのは、おそらく準備と慣れです。

 

 面接でぶつけられる質問には2種類あります。すなわち、予想できるものと予想できないものです。

 予想できるものには「学業以外で打ち込んだことはなんですか?」とか「学部を選んだ理由はなんですか?」のような業界を問わない一般的な質問と、「これまでにプログラミングの経験はありますか?」とか「どんなエンジニアになりたいですか?」のような業界特有の質問があります。これらを知るには、インターネット含め先人の知恵に頼るのがいいでしょう。

 予想できないものとは、企業がオリジナルでやっている質問やその場の流れで生まれた質問です。これらを完全に対策することは叶いませんが、先達から情報を得られることはありますし、まったく奇想天外なものだけではなくこれまでに答えたことのある質問と似た質問も来るでしょう。

 要は、自分のことについてよく考えておけということですね。軸というものがあったのなら、最低限のロード時間で答えを返せたと思います。そのためにも、やはり想定される質問や喰らったことのある質問、誰かから知り得た質問への答えを事前に文章化しておくことはやはり有効だったのでしょうね。こうした準備がなければその場で毎回答えを組み立てなければなりませんから、テンポは悪くなるし穴も出てきます。

 

 こうした準備ができていても、それを本番の面接で役立てられるかはまた別問題です。これがただの筆記試験だったのならまだよかったのでしょうが(緊張することこそあれど)、面接の場にはヒトがいます。厄介なことに、面接官にも感情というものがある生きた人間ですから、それに合わせなくてはなりません。

 面接のマナーを知っておくことも準備に入りますね。それとは別に、伝え方や身体の動かした方(身振り手振りがどうのアイコンタクトがどうの)も望ましいものを覚えておく必要があります。面白くもくすぐったくもないのに笑顔で話すなんて心底気持ち悪い限りですが、彼らがそういったものを好む奇人ですから仕方がありません。

 

 そうそう、最近ではオンライン面接も多いです。エージェントを通して私が受けた中だと、まず会社説明会があって、それを受けてから選考に進むかどうか決めるところが多かったです。その会社説明会もだいたいオンラインでしたし、以降の選考もエントリーシートや適性検査を挟むことはあっても一次面接はほとんどがオンラインでした。面接は後のものになるにつれてだんだん対面になる確率が上がっていきますが、会社によっては最初から最後まですべての面接がオンラインというところもありました。

 オンライン面接では、下半身に気を使わなくていい分カメラの角度や光に気を使わなければなりません。カメラを通した見え方は結構わかりにくいもので、これも誰かに見てもらうといいでしょう。私はエージェントとの面接の練習の際に指摘してもらいました。女優ライト、案外馬鹿にならないものです。

 

 そして、あなたも私もヒトですから、これらすべてを面接でいきなり十全に扱えるとは限りません。そこをカバーするのは、やはり経験値をおいて他にないのですね。怖いのは未知だからであって、慣れてくれば落ち着いて面接に臨めます。

 とされていますが、私はまったく慣れませんでした。意識の高い就活生と比べればまだ場数が足りないのもあるでしょうが、これは慣れ不慣れというよりも私がただコミュ障というだけな感じもします。

 結局、内定が出たところも含め、まったく緊張することなく面接をこなすことは一度たりともできませんでした。次にどんな質問が来るかとか、どう答えようかとか、そんな思考でいっぱいです。模擬面接というのをしておけば多少はマシになったのかもしれませんが、これはもう死ぬまで治らないような気がします。

 出願数は20くらい欲しいと誰かが言っていました。私の総出願数は覚えていませんが、あっさり落ちたところも含めればそれくらいになったかもしれません。面接の場数を踏めば慣れていくのは確かでしょうし、それゆえ本命を後半に配置するのも合理的ですが、だからといって志望度の低い面接を舐めてかかるのは(企業に失礼とかそんなどうでもいい理由ではなく)あまりよくないと思います。

 私は、最後まで面接の手ごたえというものがわからないままでした。これは、単純に勝った経験があまりにも少ないからです。勝ち方というのは勝たなければわかりませんから、「こうすると負ける」だけではなく「こうすると勝つ」もやはり必要です。出願が無料とはいえ無限にできるのではないのですから、どうすれば勝てるのかを考えつつ毎回の面接を勝とうとするのが望ましいのではないでしょうか。木虎藍は正しいことを言いますね。

 

 また、面接でよく設けられるのがワクワクご質疑応答タイム、通称"逆質問"です。「████さんの方からご質問はありますか」のように聞かれるのですが、これにいくつかの質問を返さないと志望度が低いと思われるらしい、非常に悪質な罠です。

 「入社までにしておくべきことはありますか?」とか「[面接官の名前]が入社を決めた点や入社してよかったと思う点はなんですか?」とか「どのような素質が必要だと思いますか?」、「入社してからの流れはどのようなものですか?」を使っていました。福利厚生面を聞くのはよくない(妙な話です。金を稼ぎたいというのがほとんどの人の就職動機でしょうに)とされているそうですが、「社員間交流はありますか?」は使いました。聞く人もそれなりにいるようです。

 大抵は3つにしていましたが、面接が何度も繰り返されていると、前と同じ面接官なのに逆質問を求められることがあります。もちろん前に使ったものは使えませんし、面接を重ねていれば知っている情報も増えてきますから(相手から明言済みの内容をまた聞く訳にはいきませんからね)、ますます質問の幅が狭まってきます。面接官が異なることももちろんありますから、一概には言えませんが。

 汎用ストックを多めに持ちつつ、施作やこれまでに聞いたことを反映させた企業ごとにユニークな質問も用意できるとよさそうです。企業に興味があって調べていることもアピールできますからね。

 

 

 

大学

 名前はそれぞれ異なってくるのでしょうが、大学には学生の就活を支援してくれる部署がどこかにあるはずです。ここも無料で使えるツールですね。

 弊学では、普段お知らせが貼られたり履修登録に使われたりするポータルサイトとは別に、就活生向けのwebサービスがありました。ここには企業の求人やインターンシップの情報が掲載されるほか、大学が提供しているエントリーシートや履歴書などのテンプレートがダウンロードできたり、採用実績を閲覧できたりします。大学が主催する合同企業説明会のお知らせもここに来ました。

 また、職員との面談も予約できます。これは対面とオンラインのどちらも選ぶことができ、エントリーシートの添削や模擬面接、就活全般の漠然とした相談まで幅広く活用できました。エージェントと似ていますが、普段いる大学でできることや大学専用の求人情報を扱える点が異なりますね。彼らは紹介報酬など得ていないはずですから、その点も信頼できます。

 私はこれまで大学職員にいいイメージを持っていませんでした。主に委員会と敵対関係にある学生生活課や底意地と態度の悪い警備員連中のせいです。なので利用を渋っていたのですが、いざ利用してみると親切に接してくれて便利なサービスでした。「素のあなたを出そう」と言われた時にわからなくなって行かなくなってしまいましたが、これは私のせいですね。何度か使えば利用の精神的ハードルも下がるでしょうから、ぜひ一度くらいは使ってみてもいいと思います。

 

 成績証明書のような大学発行の書類を要求されることがたまにあります。案外面倒なものなので、暇な時に発行の手順を知っておくといいでしょう。弊学では、オンラインで申し込み後郵送、学内印刷、コンビニ印刷から選べました。厄介なことに、デジタルのpdfデータのような形では発行していないのですね。こういう時だけでなく何らかの承諾書をメールで送付→署名してpdf化したものを送り返してねということもたまにあるので、スキャンの方法も知っておくと便利です。

 念を期すなら、1部くらいは現物を常備し、スキャンデータを作っておくと安心です。顔写真データと同じフォルダにでも入れておきましょう。

 

 

 

合同説明会

 大きな会場に企業のブースがいくつも拵えられて、同時多発的に説明会が開かれている会を合同説明会といいます。コミケみたいな即売会が雰囲気近いでしょうか。

 情報を得るには自分から行動しないといけないものですが、こういった会では企業の方から来てくれます。もっとも、私はその後の出願を怠りがちでしたけど。

 マイナビが開催するものは特に規模が大きく、ビッグサイトが会場の場合もありました。とにかく企業数が多く、業界も知名度も千差万別です。手っ取り早く様々な業界を覗いたり、有名企業の人と話したりするならうってつけでしょう。

 大学が開催するものは規模でこそ劣りますが、企業側が「この大学の学生が欲しい」というニーズを持っていたり、限定の優待(書類審査免除など)があったりとやはり得です。参加者数も少ないですから、担当者との距離も近いはずです。

 そうそう、説明を聞くとパンフレットや粗品をくれる企業がありますが、マイナビ主催の3年生1月に開催された会では、モバイルバッテリーや水筒をくれるところもありました。無料コンテンツなので回し得です。

 また、マイナビ主催だと指定数以上ブースを回ったり早めに入場したりすることで金をくれる場合もあります。ノルマをこなすのは案外時間的に難しいのですが、参加数のカウントは小さなカラーシールをパンフレットに貼って行っているだけなので、複数種の丸くて小さなカラーシールをこっそり持っていくと幸せになれるかもしれませんよ。