ウルリヒトゥレタス

皐月川納涼床

就活雑感 3月後半編

 エージェントとのおはなしの際、SEに興味があると話すと勉強は好きか聞かれました。大雑把にまとめると、自己学習が必要な業界だからそれができないとつらいということのようです。どちらかというと、学校でやっているのは他人に自己学習をさせたりその機会を与えるための話なんですがね。

 私は勉強以前に努力が嫌いです。厳密には、時間をかけてコツコツやらなければならないコンテンツは続かないから苦手です。勉強などその最たるものですからもちろん苦手で、受験はそのせいで苦労したものです。なんなら就活もそうです。

 とはいえ、です。対外部のために作った請求書と領収書のジェネレーター、そしてそのいわば前身ともいえる、アルバイト先で作ったカレンダーは自己学習の結果なのかもしれないと思っています。

 勤務先では、カレンダーのように当月の日数や曜日が書かれているふたつの書類が使われていました。空欄に予定を書き込むためのシフト希望調査票と、それぞれの日における他店舗の売り上げを記録しておくための用紙です。これらは別に公的な書類ではないため、エクセルで誰かが作ったものが使われていました。

 ところが、元データがなぜか消失してしまったらしく、アルバイトの中でもっともPCに詳しいとされる(理由: 若いから)私に再制作の指示が飛んできました。エクセルは授業で多少触ったくらいだったものの、表を作るくらいなら問題なくできると思い、私はそれを引き受けました。

 大きさを調整したセルに罫線を引いて、必要なテキストを入力し、その月の日付と曜日をセットするところまではすぐにできました。試しに印刷してみても、きちんとイメージ通りに出力されます。

 しかし、これは毎月作り直す必要があります。自動入力機能はあるものの、土日や祝日に色をつけるのはひとつずつ手動でやらなければなりません。毎月変化する日数も厄介です。これまでの知識から、数式やマクロというものを使って複雑な指示を埋め込めるということは知っていました。ごくごく基本的なものしか使ったことはありませんが、きっと欲しい指示ができるマクロも存在すると考えたのです。

 調べてみると、やはりそういうこともできるようでした。日付と曜日を自動で変更する数式、自動で土日に色を付けてくれる数式、本来は識別できない祝日を識別できるようにする数式といったように様々なサイトを調べ、組み合わせました。うまく共存してくれない場合もあり、その時は数式本体の仕組みを調べ、別の数式での代用や競合回避の術を探しました。

 これらを実装し終えた結果、月に一度の月を更新する作業と年に一度の年号と祝日のリストを更新する作業だけで機能する半自動式カレンダーが完成しました。もっとうまいやり方もあるのかもですが、店長は十分満足したようでした。

 領収書や請求書とカレンダーは違うものですが、セルの参照と自動更新、特定範囲内の検索といったような手法については、この時に経験していたおかげでジェネレーターを作る時にも役立ちました。やりたいことを実装するための調べ方がわかったことも大きいと思います。

 これらは別に言語を用いた本格的なプログラミングではなく、ごくごく初歩的なものでしかありませんが、問題を解決するために自己学習をして何かを作ったという概念は悪くないのではとちょっと期待しています。

 そういうことで、SEの方はいくつか説明会を都合してもらうことにしました。それはそれとして、先にやってきたのが介護系の説明会です。3つ受けたと思います。介護や福祉についての懸念点は前回で述べた通りですが、とはいえ特に売り手市場だとされる領域で内定を取っておくことは必要に思えました。

 説明会を聞いてみると、どれも少なくとも最初は実働部隊から始めなくてはならないようでした。つまり、いずれは事務所の管理職や本社での勤務になることはあっても、入社して何年かは実際に介護の現場で働く必要があるのです。それだけはどこも共通でした。

 私が抱いているような偏見はやはり企業の側も想定はしていて、説明会もそれを払拭して興味を持ってもらおうとしているようでした。そのことは感じ取れましたし、新しくて綺麗な施設の建造や労働環境改善をしていることもわかりました。若手が活躍できる環境も整えられつつあるようです。

 ですが、それはそれでしかありませんでした。思ったより悪くはないかもとは思えても、一生の仕事としてやっていこうとまでは思えないのでした。悪くはないけど良くもないといったところでしょうか。それ以上の興味を抱くには至らなかったのです。

 紹介された他のSE募集の説明会を聞く前に、自分でひとつ説明会の予約を入れました。まったく別の会社です。説明会の感触もよさげだったので、選考開始の意を伝えました。最初の試練はエントリーシートの提出と適性検査の受験です。

エントリーシートはこれまでのものを少し改変して出しました。委員会旅行の宴会で書く羽目になったのは少しだけ反省しています。後日、協力者(これで3人目です。前任者たちは以降の協力を拒否するか失踪しました。信頼できる協力者を得ることも大事ですね)の添削を受けたところ、穴が結構あったと判明しました。誰の指導もなく書いたものですから当たり前ですが、やはりエントリーシートは難しいですね。

 どうやら、私にはひとつの文に複数の事柄を配置する癖や抽象的なことばかり書く癖があるようです。普段書いているのがそういう文章だからというのもあるのでしょうし、いわゆる企業研究というものの練度が低いからでもあるのでしょう。その企業だからこそ書けることを書いてこそ、理解のある志望者であることを示せるのです。どれだけ理解しているかの「御社解釈バトル」というわけです(旧協力者からDiscordで送られてきたこの言葉にリアクションを押すことはもう叶いません。悲しいですね)。

 とはいえ、そこが本格的に必要となってくるのは志望動機とかその会社に入ってからどうしたいのか(どんなプロジェクトに携わりたいのかやどんなキャリアパスを歩みたいのかといったところでしょう)です。どの企業への応募でもたいてい問われる学生時代に取り組んだことや学んだことに対しては、ある程度の"素体"を用意しておくことが効果的なようです。使うつもりのエピソードを使って数百字程度の文章を書き、それをコアにして使いまわすということですね。字数制限に応じて調整すればいいのです。

 そのエントリーシートの提出ともうひとつ課されるのが適性試験です。実際にはいくつか種類があるらしく、今回受けたものはWEB CABと呼ばれる種類でした。PSIみたいな名前はよく耳にしますね。今回の試験は、4つの科目と性格診断から構成されています。

 科目はどれも高難易度です。文系なのに分数や小数もある暗算が課されるところからはじまり、論理的な思考を求められる問題が続きます。例題は調べれば落ちていると思いますが、並べられた図形から規則性を読み取ったり、逆に規則性から結果を予測したりと実生活では絶対に使わないであろう問題が並びます。序盤はどうにかなっても問題が進むにつれて複雑になり、解けなくなってきます。それをかなりシビアな制限時間の中で解かなくてはなりません。

 そうしたら、それが通ってしまいました。一次面接は説明会にもいた人事部の人&若手社員VS私です。オンラインとはいえ、本格的な面接はほとんどはじめてです。今度こそ落ちてはなりません。前回の敗因であろうと思われる自己アピールをはじめ、定番の質問集に目を通しました。第3の協力者によれば、自己アピールとはその面接で聞いて欲しいことを並べる場所だそうです。概要だけ軽く語り、面接官に興味を持たせるということですね。

 いざ面接が始まって早々、来ていたスーツについて言及されました。スーツで固めてくれてる一方でこちらはそうじゃないのが恐縮だけど、どうぞリラックスして欲しいといった感じです。服装についての指定はなかったはずですが、もしかすると面接官は京都人だったのかもしれません。真意を確かめることも今更着替えることもできず、質問が来ます。

 最初の質問は想定通り自己アピールで、エントリーシートに書いたような事柄に軽く触れて終わらせました。そのあとには、それらを掘り下げるような質問が続きます。割と想定していたこともあり、致命的な詰まりはなしに答えることができました。いい具合のスタートを切ったようです。

 ところが、途中に端末のバイブ音とPCのDiscordの通知音が入ってしまった気がします。素知らぬ顔で電源を切りましたが、始まる前に確かめておかなかったことが悔やまれます。使っているPCも含め、各端末の通知を忘れずに切るようにしておきたいですね。幸いながら今回はありませんでしたが、妹への暴言スプラ自粛要請も必要になるかもしれません。

 ここまでが第一部とするならば、第二部で聞かれたのは企業理念との相性でした。企業側が人材に求めるところが3点挙げられ、それについてのエピソードを話さなければなりませんでした。説明会をもっと真剣に受けていれば予想できたのかもしれませんが、私はまったくの即興で答えるほかありませんでした。ここでも委員会での経験が役に立ちました。委員会の話ばかりしていていいのかは少し不安です。

 また、これに含まれるのかは思い出せませんが、考えてから動く派かすぐに動く派かを聞かれたのは覚えています。私が考えてから動く派だと答えると、今度はそれでよかった経験とよくなかった経験を聞かれました。

 実際はむしろ私がキレたところを止められたというのが正しいのですが、以前の他大学とのコラボ企画における諍いを「いったん立ち止まって互いの利害や状況を整理することにより、期限内に仕事を終わらせることができた」と言い張りました。よくなかった経験は具体的なことが思い出せず、何かグループの中で責任者や担当者を募っている時に自分でもうまくやれるのかを考えてなかなか手を挙げられないでいたことを話し、さらに聞かれたやっている改善策では学習機会と捉えて積極的に参加するようにしていること、コラボ企画のもその一環であることを話しました。

 そして、私の苦手な逆質問が来ます。これまで参加した説明会の質問タイムで観測した限りだと、福利厚生や研修など入社してからのことやどのような人が働いているかのようなことをみんなは聞いているようでした。それらを元にすることで、どうにか乗り切ることができました。

 終わってみれば、業務効率化ツールの受けがいいように感じました。①PC操作に慣れていること、②問題発見と自己学習による解決ができることをアピールできるのですから、使い勝手はけっこういいのかもしれません。これからもどんどん使いたいと思います。もっとも、本当は作るだけ作って対外部のみんなにはまだ提供していないんですけどね。手を加えだすと楽しくなってきて、機能の追加や改善を繰り返すせいで完成が遠のくのです。仕事としてやるには向かないのかもしれませんね。