ウルリヒトゥレタス

皐月川納涼床

[2022] 生存報告番外: 506番房記録 4日目

 朝についてはもうどうしようもない。掛川では自然に目が覚めていたが、ここでは強制的に起こされるというのが大きな違いだ。ただし、あちらでは教習という寝たり集中を解いてはならない時間があったのに対し、こちらにその縛りはほとんどない。

 ちなみに、放送は繰り返される。TOEICだかセンター試験よりは親切だが、その必要はないのが惜しいところだ。というか、聞かなくても内容はもうわかる。

 朝食は、GUH、新香、野菜、卵焼き、焼き鯖、揚げちくわ、唐揚げだった。新規の鯖もなかなかおいしい。焼き鮭2連は本当になんだったのだろう。

 朝食の間、懐かしくなって『バトルシップ』を観た。パンジャンドラムの暴力的な音がいいし、ミズーリの一斉射はやっぱりアツい。母校では映画を全校生徒で観る奇妙な行事が1年に1回あるが、これにぴったりだと思う。

 その後、少し横になったら案の定寝た。昨日と比べて早く寝たとか運動したとかはないからよくなる原因は特にない。かといってそれらに原因を求めるのも性急だし、改善も困難だ。ここは朝早くに起こされるせいであると提唱したい。

 今日は問診の電話が来ない。たまたま寝ている間や部屋を空けていた間に来た可能性は否定できないものの、部屋凸も来ていない。人が多いこともあり、最近ほぼ症状がない囚人への問診は不要だと判断したのかもしれない。

 昨夜感じた奇妙な人の多さは、気のせいではなかったらしい。どうやら本当に人が増えているようで、昼の配給放送では奇数階と偶数階で配給をずらすことが通告された。先に偶数階が呼ばれ、奇数階が呼ばれたのはその約20分後だった。

 昼食は、GUH、人参、卵焼き、春巻き、レタス、チキン南蛮とソースだった。ソースはマヨネーズあたりがベースに思えた。なお、入所時に何度かアレルギーについて聞かれるほか、配給所にはアレルギー表示もある。

 階上から床を踏む音が聞こえる。ここの防音性能は決して高くはないようで、他の囚人の咳の音が聞こえてくることもある。廊下を歩いていて室内のテレビの音や話し声が聞こえてくることもある。もし発狂する声が聞こえてきたら、いよいよここは精神病棟が刑務所か、もしくは男子校だ。

 今日は夕食の配給も2部式だったが、またこれまでにない混雑だった。どうにかエレベーターで降りると、エレベーターホールまで列が伸びてきている。すべてで40人程度はいるだろうか。①ゴミを持って降りてきて今から弁当を貰いたい者と②弁当を持って今から部屋に帰りたい者がごっちゃになっていて、どこが列の最後尾なのかわからず、混乱が生じていた。しかも、どちらも似たような袋を抱えているのだ。持っているペットボトルが空かどうかで判別した。

 夕食は、GUH、新香、野菜ときのこ、野菜混じりのビーフン、卵焼き、さつまいも、人参、ブロッコリー、レモン、プチトマト、焼かれた肉だった。肉は豚肉ではないかと推察されるが、肉の種類が判別できないことには定評があるので断定は差し控えた。あまり波打たないタイプの平たい肉であり、おそらく鶏肉と鴨肉でないあたりまでは絞り込めた。

 夕食を食べながら、『ウィリーズ・ワンダーランド』を観る。イタチやワニやカメレオンの殺人ロボットが潜む廃遊園施設にニコラス・ケイジ演じる主人公が放り込まれ、逆に彼らを圧倒的なパワーで粉砕するのだ。返り機械油に塗れた姿は、どちらかといえば生存者ではなく殺人鬼だ。

 その後、友人と『Among Us』で遊んだ。これをプレイするのは随分と久しぶりのことで、今もなおインポスターが苦手なのは変わらない。自分のいないところで事件が起きて蚊帳の外に置かれがちな気がしているが、今回はキルの瞬間を通りがかりに覗いたカメラで目撃した。ベント使用のおまけ付きだ。

 今日でおそらく刑期の半分が過ぎた。最終日がどうなるのかは未だに不明だが、着実に終わりに近づいている。そろそろ釈放後の準備を始めた方がいいかもしれない。猶予を貰えたとはいえ、期末課題は依然として存在しているのだ。